アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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Jun

19

2013

停電がもたらしたもの

いやはや、生き物相手、自然相手に仕事していると色々ある。

6月6日は、今年発生した第1号のハリケーンがノースカロライナを通過した。
時期的に早い上陸だったが、おとなしいハリケーンで何事もなくホッとしていたら、
一週間前にかなり過激な雷雨があって、広範囲で停電となってしまった。

まる1日以上の停電となり、牧場の機能は完全マヒ。
水は地下水を電気で汲み上げる仕組みだし、調理も電気がないとできない。

多少の不自由を感じても、私自身はどうにかなる。
だけど困ったのは、馬達にあげる水を調達することだった。
暑い盛りなので、放牧地の150リットル入る大きな水桶は半日でなくなる。

100_4066.jpg


(馬の健康管理に不可欠な、たっぷりと新鮮な水)


人間用のペットボトルの水もうっかり切らしていて、
夕方から始まった停電で、汗だくの作業を終えて喉がカラカラのところへ、
「エィ!!」とビールを一気に2本も飲んだら酔っぱらってしまった・・・。

日の長い夏だけど、さすがに9時も過ぎるとあたりは真っ暗になる。
こんな時は早く寝るに限る、とベッドに入るが馬用の水の確保をどうしようかと
考えたら目がさえて、悶々と長い夜となった。

翌日、寝不足から回転しない頭で四苦八苦作業をしていて、
そろそろ我慢も限界と思ったときに、ありがたく天は助けをもたらしてくれた。

「だいじょうぶ?」と友人が心配して電話をかけてきてくれた。

事情を話したら、おにぎりと40本のペットボトルの水を持ってきてくれる。
一緒に食事をしながら、彼女とたわいない世間話をしたら、心細さが一気に吹き飛んだ。

そして、乾草を配達してくれる近所の農家さん、
(私は密かに「ジミーおじさん」と呼んでいる)、
が彼自身も農作業で忙しいのにわざわざ様子を見に訪ねてきてくれた。

ジミーおじさんは、グリーンウェイランチが地下水で生活しているのを知っているので、
困っているのではないかと思ったそうだ。
停電が解消するまで緊急時の対策として、ゲストハウスに使用している公共の水道水を
牧場の水道管にも流れるようにしてくれた。


ホントに、本当に人の心は温かいと思った。
感情の表現が下手くそな私は、
親切にしてくれた人達が帰ったあとになって、感謝の気持ちがリアルにこみ上げてきた。

何回も 「ありがとう!」 と自然と言葉になってでてきた。
その日の夜は、人の優しい、温かい気持ちが暗いところも明るくできるんだ、
と心から感じることができた。
そして、たまにはこんなハプニングもいいのかな・・・、と思いながら寝入ってしまった。

2013/06/19 4:52:35 | リンク用URL

Apr

11

2013

気落ち

7年前、牧場の工事に明け暮れていたとき、引越しした家の前に小さな2本の苗木を左右に分けて植えた。
記念にと思い、1人でささやかな植樹祭をした。
どんな木なのか、いつもの悪い癖でせっかちな私は一緒に付いてきた説明書を読まずに植えた。
多分、成長したら自分の背丈くらいになるのだろうと勝手に思っていた。

ところが人の予想を無視して家に向かって左側の木は、年月と共にドンドンと伸びて家の屋根のてっぺんに届くほどになった。
それと反対に、右側の木はいつまで経っても私の腰の高さより伸びることがなく、植樹して数年経った一昨年あたりからやっと遅れを取り戻すかのように急に成長しだした。

植物のことは分からないが、やっと根っこがしっかりと張りだして栄養が取れるようになったのかなぁ・・・、
とその成長ぶりを感心しながら喜んだ。

2013年は4月の声を聞いてやっと春らしくなってきた。
3月下旬で放牧地の水桶にうっすらと氷が張ったり、4月4日にはみぞれが降ったりと、このあたりでは珍しく長い冬だった。
雨量も多く北からの強風も続き、やっと大きくなってきた晩熟の木が、風のあおりを受けて少しずつ斜めに倒れてきた。

日が経つにつれ木の傾きはその度合いを増していったので、研修で滞在していた津田さんに相談し、地面に杭を打って木を支えることにした。
最初は、トラクターで木を押して位置を修正するプランで、津田さんに枝を押さえてもらう事にした。

DSC01232.jpg


バケットを上げてガガガァー、とトラクターを前進させると木の枝を押さえている津田さんがなにか言っている。
耳に手をあてて、「聞こえないょー!」とゼスチャーしたら、また彼女が笑みを浮かべながら何か言った。

作業を中断したくなかったが、仕方なくトラクターのエンジンを切って「どうしたの?」と聞くと、
「巣が・・・、鳥の巣がありますよ。」
トラクターから降りてどれどれ、と彼女の手の先をのぞき込むと鳥が静かに巣の上に座っていた。
周辺ではトラクターの騒音や人間がウロウロとしているのに肝の据わった物腰だった。
親鳥の「何があってもここはけして動かない。」という決心が伺えるような姿がとてもけなげだった。

DSC01229.jpg


「鳥の巣に気がついてよかった。 このまま押してたら巣をつぶすところだったよねぇ。」と2人で話をしながら、木にヒモをかけて反対側から引っ張る作戦に変更。
慣れない作業に、あーでもないこーでもないとやっとのことで木を真っ直ぐにしたのは良かったが、反対側にある鳥の巣を見に行くと大変なことになっていた。

事前によく考えれば分かることなのに、木を真っ直ぐにしたことで今度は鳥の巣が斜めになってしまったのだ。
親鳥は可哀想に傾斜した巣に座っていられず、すぐ側の枝につかまっている。
かろうじて1羽のヒナは巣に残っていたが、もう1羽は地面に落ちていた。

困ったことになった・・・、と思いながら落ちたヒナを巣に戻し、傾いた巣を近くから拾ってきた枯れ草でなんとか水平にしたが、その騒ぎで親鳥はどこかへ飛んでいってしまった。

「人が触った巣やヒナに親鳥は戻ってくるかなぁ・・・」と言うと津田さんは、
「以前、雀の子を巣に戻したことがあったけど、親はまたそのヒナを地面に落としてしまいました。」
あぁ・・・こうなったら自然の成り行きに任せるしかない。

気になりながら、その場を離れ夕方まで馬の作業にもどる。
数時間後、仕事が終わって家に入る前にそっと例の木を覗くと、嬉しい事に親鳥がまた巣の上に座っていた。
よかったぁ!大きく安堵のため息が出た。

翌日、親が戻ってヒナを抱いていることを津田さんに話し2人で喜んだものだ。
それからというもの私は朝と夕方、親鳥を刺激しないように遠くからヒナの成長していく様子を楽しみに観察させてもらおうと思った。

ところが数日経ったある夕方、いつもいる親鳥が見えない。
今まで必ず見かけていたので、変に思い木の枝を静かにのけてみるとヒナが2羽巣の上で寝ているように見えた。
でも、よく見るとヒナは息絶えていた。 だから親鳥は巣を後にしたのだ。

そこで腐っていくヒナを放っておく気持ちになれず、巣ごと木の枝から取り出した。
小さなヒナは2羽、体を寄せ合って巣の端の方で死んでいた。

自然界では、無事に成鳥になる確率は少なくても、それも自然の摂理と納得できる。
だけど、このヒナ達は自分がやったことで死んでしまったわけで、2羽を手にとって見ている内に悲しくなってしまった。
それから数日間、寄り添って息絶えたヒナの姿が目に浮かびやるせない気分を味わうことになる。

2013/04/11 5:03:35 | リンク用URL

Apr

06

2013

1ヶ月を終えて (津田綾)

あっという間の1ヶ月だった。
だけど、ずっと前からここにいるような、この先もずっとここで変わらぬ生活をしていくような、そんな錯覚もあって、終わってしまうことが未だに実感できていない。
ここではのんびりと時が過ぎていて日本の様にせかせかといつも何かに追われることがなかった。
そのせいか、馬達もみんなのんびりと穏やか。 それに広い放牧地でのんびりと草をはみながら過ごしている。
来て直ぐに生まれた子馬ももう放牧地に出て、思い切り走り回っている。

日本のクラブの馬達は、私達がせかせかとしているせいかどことなくピリピリしている。
とあるクラブではレッスンのお客様がひっきりなしに来て、つなぎ場がないから馬房で馬装されレッスンにかり出され、終わるとまた馬房で馬装を解かれ、そりゃストレスのたまった攻撃的な馬になっちゃうよな、と思ったことがある。

ここの馬達は初めて乗せてもらったときにはすごく大きなしっかりとした芯のある馬達だと感じた。
それはみどりさんも常に言っていて、馬に芯を作ってあげなくちゃいけない、と。 それを今回実感できた。
それともうひとつ大きく感心したのは、馬が「マイルドでシャープ」穏やかな心を持っているけれど、きちんと指示には従う。 決して重いわけでもないが、怖さを感じる敏感さではない。
ピリピリとした緊張感ではなくほどよい緊張感を持っている。 そう感じさせられた。

日本に帰ったら、せかせかした毎日が待っているだろうけど、ここで得た感覚を忘れず馬達と接していきたい。
「人を見るには馬を見よ」という言葉があるように私も自分の育てた馬を、自信を持って人前に出していけるようになりたい。
なかなか芯の弱い私だけれど、私自身がしっかりした芯を持っていなければ、ここでみどりさんに言われた芯のある馬を作れないだろう。
いつかは「良い馬を作るね。良い馬乗りだね。」と言われるようになりたい。
毎回馬をトレーニングするときには、自分の心の中でみどりさんの叱咤激励の声を思いながら乗ることにしよう。

DSC01192.jpg

2013/04/06 3:40:51 | リンク用URL

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