アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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Feb

11

2015

天使の降臨 (人という字の意味)

「人は1人では生きてゆけない。 人という字は2本の線が支えあって出来ているんだよ。」
と、何十年も昔そう教えてくれた人がいた。

当時、私はまだこの言葉の重さが分からない20代そこそこだった。
それでも今まで忘れないでいたということは、
いずれこの言葉の意味を生きていく中で経験するという事だったのだろうか。

私が、その教えを実感として理解するに至った出来事は、
牧場建設工事とその後の時間の流れの中で起きた。

ところが美しく聞こえるこの哲学の体験は、
先に書いた大工との苦い経験と、
牧場開設直後に雇った人間とのドタバタ劇から始まった。

人はお互いに支えあっていかないと生きてゆけない。

この考えを身近な家族とか友達という形ではなく、仕事や事業に当てはめてみると、
自分1人の力ではできることは限られていて、
事業の広がりを求めるのであれば他人の力が必要だということだ。
ただ、それはどのような人間と関わっていくかで拡大か消滅くらいの差が出てくる。


私が1年前の「天使の降臨」というブログで、

「本来だったら起業する人は、もっと綿密な計画を打ち立て、
しっかりと周囲を協力体制に持っていってから行動に移すのだろう。
ところが、私の場合はあまりにも唐突の出発。
しかも単独行動で、一緒に力を合わせて事を進める人もなく、
牧場建設の旅路は、あまりにも無謀な態勢のスタートだった。」

と書いたことがある。

起業ということがどれほど大変なことかを慎重に考えなかったために、
私は数々のしなくてもよい痛い経験をし、長い寄り道もしてきた。

「人生から学ぶ」 という精神的観点なら計画性のないマイナスに見える行動は、
時として深い気付きをもたらしてくれることもあり、それはそれで良しなのだが、
牧場を「運営する」 という現実的な世界ではデミリットになる。

口外するには恥ずかしいほど仕事に対しての考えが甘く、
趣味の域を超えることができないでいた。

だけど、もし私の行動に言い訳を許されるのであれば、
起業へと導かれた当時の流れである。

ニュージャージーからノースカロライナに引っ越したとき、
グリーウェイランチからさほど離れていない所に、
当時一緒に歩を進めたパートナーとレイニングホースのトレーニング牧場を築いたことがある。

ところがまるでその動きがきっかけのような感じで、
牧場は建設中の段階でパートナーとの別れが訪れた。

私は数頭の馬を抱えながら、独り立ちしなければいけない状況になり、
馬たちを売って日本に帰るという選択もできたが、手放せないでいた。
馬に持つこういう気持ちが後にまた問題になるのだが、
それはさておき・・・

自分の牧場作りへと踏み切ったのは、馬たちが安心して住める場所を作りたい。
そして兼ねてからの夢だった、日本とアメリカの懸け橋になるような牧場を作りたい、
そんな気持ちが再燃したのが理由だ。
この動機も「経営」という理念でいけば、甘い考えだと後に気が付くのだが、
そのことは後に・・・


私は牧場建設を開始するに至って、
大工を皮切りに人を雇うことになったわけだが、
それがどういう事なのか深い部分での理解に欠けていた。

それは、こちらはお金を払う側で、
相手はそれを受け取る代わりに何かをするという単純な意味ではない。
自分のやりたいことを実現させるために、
人との関わり方を熟考し工夫するといった雇用者の持つべき役目や働きが
分からないでいたのだ。

それと同時に、牧場の経営というのは実践の世界なので、
馬をトレーニングできるというのは論外、
牧場に不可欠なトラクターの運転ができるというのも当然のことで、
トラクターに何種類もの機械を取り付けその操作も出来なくてはならない。

またホーストレーラーの牽引など、様々な場面で手腕がためされる。
牧場の簡単な大工仕事やメンテナンス作業もできなければ話にならないし、
例え賃金を払って誰かにやってもらうとしても、その内容の知識がないと足元を見られる。

そして、その頃の私はようやくホーストレーラーの牽引はできるようになっていたが、
その他の作業や牧場のメンテナンスに関しては無知だったのだ。

余談になるが、「外国人(東洋)の女性が牧場を建ててる」
そう近所の噂になっているのをうすうす感じていたとき、
隣の畑からファーマーとみられる大きな男性が3人柵越しに立ち、
私が慣れないトラクターの操作で必死になって馬場を作っているところを
観察されたことがあった。

不躾にも、いつまでもそこを去らないので、
その人たちのところまでトラクターを乗り付け
「何か用ですか。」
と聞いたことがあった。

男性の1人は、私の取った以外な行動に言葉を濁しながら、
「いや・・・、上手に運転していると思ってさ・・・」
と返事をしたが、みんな私の技量を判断しているような気がした。
どんな奴が来たのだろうと詮索していたのが分かる。

馬場で馬に乗っていた時は、馬関係者とわかる人がトラックを路肩に駐車して、
しばらく見られていたこともいく度かあった。

土地柄、わずかな変化でも目立つ地域で育った大工は、
小さな環境ならではの独特な感覚と知恵が身についていた。
私は、そのような人物を相手に後手に回り過ぎ、
これは一つの反省すべき点だったと後に気付く。

金額や工事の進め方など取決めを相手に度々伝え、
これはボランティアではなく、仕事なのだという事を自覚してもらうべきだった。

ただ、繰り返しになるが、大工は糠に釘の一筋縄ではいかない人物であるのも確かだ。
工事を依頼したとき契約書を取り交わしたが、大工にはただの紙切れ同然。
私にとって約束事と思えることは、彼の感覚だと噂話くらいの軽いものなのだ。

それではなぜこの大工を雇ったのかということだが、
自分の場所ができるまで馬を預託した牧場のオーナーの紹介だった。

「なんでも注文通りに作ってくれるし、工賃も安く上がるよ。」という話と、
実際にこの大工がそこの牧場で作業をしているところも見ていたので、
任せられると思ってのことだった。

結局、この大工は助手をしてもらうために自分で呼んだ2人の弟たちの一人とケンカをし、
その際、弟のやる仕事が気に入らないので彼を首にしてくれと私に迫った。
私は、「真面目に働く人間を辞めさせる理由はない。」 とその言葉を無視していたら
ある日突然、大工は仕事を投げ出して去って行ったのである。

工事の開始から始まった人との関わりの難しさを知る修行は、
これで終わったかのように見えたが、
天は、この直後にまた新たなる人物を私の前にもたらし、ドタバタ劇が再開することとなる。






2015/02/11 2:43:56 | リンク用URL

Feb

04

2015

天使の降臨 (人との関わりの切なさ)

以前、「天使の降臨」というタイトルを付けたブログで
牧場の立ち上げから今に至るまでのグリーウェイランチにまつわる、
色々な人との不思議なめぐり合わせを書いたことがあった。

思い起こせば、牧場が今成り立っているのは沢山の人たちの力添えの結果で、
その時に感じた感謝の気持ちを綴ってみたかった。

ただ、今では学びのための良い機会を与えられたと思えるが、
牧場には助けになる人ばかりが訪れたわけではないことも事実だ。


私は牧場建設を始めるまでかなりいい加減に生きてきて、
そんな人間が乗馬施設を四苦八苦しながらも立ち上げられたのは、
我ながら驚異に感じる時がある。

そのいい加減さは牧場を作ることで正され、
そして、ここの成長とともに自分自身も育てられている感じを受ける。

今日、ようやく牧場の建設中に経験した苦労を語れるまでになったが、
もし、渦中で弱音を吐いていたら、私はその大変さを嫌というほど実感するに至り、
すべてを途中で投げ出していたのではないかと思う。

畑だった更地に馬小屋とゲストハウスを同時進行で作る行程は、
怒涛の中を泳ぐような厳しく激しい体験だった。
一人で背負うにはあまりにも重い荷で、つぶされそうになったこともある。

工事の終了は、融資を受けた銀行の指定する期限を大幅に過ぎ、
私自身も大工仕事を加勢するため資材の調達と運搬をした。

そして、ほっておくと少し作業をしては帰ってしまう大工に張り付いて自分でできる作業はするという、男性でも大変と思うような事もした。
二つの建物を作る材料に私の手が触れなかったものはないと言えるほど、
必死になって工事に関わった。

そうでもしない限り大工は、やれ家族の具合が悪いとか、他で何かを頼まれたとか、
夜中じゅう鹿狩りをして寒くてしょうがないとか、風が強すぎるとか・・・、
様々な言い訳をしては仕事を途中で中断した。
何を言っても糠に釘で、どう対応して良いのか散々悩んだ。

私自身は一生懸命やっているつもりでも、銀行の担当者ははかどらない工事を見て、
大工から甘く見られているのではないかと指摘された。

事実、家族の具合が悪いという話を聞いて同情したのはいいが、
それから数日後に入院しているはずの義父が突然工事現場を見学に来て、
大工の嘘が発覚したこともあった。

銀行員の言葉は胸を刺すものがあり、自分の甘さを痛感した。
それでも、強いことを言って大工の機嫌を損ね仕事を投げ出されても困るし、
また体躯の大きな男相手に威圧感を覚え、ハッキリとものが言えなかった。

自分の力不足にイライラと悔しい感情を抱きながら、
銀行と大工の間に挟まって、労働とストレスの毎日から心身共に疲労極限の時期を過ごした。

状況に負けそうになった時は、とにかく将来に焦点を合わせ牧場の完成を夢見て、
その暁には、建物を眺めて感涙にむせぶだろう自分を想像して頑張りとおした。

ところが、晴れて牧場が形を成した時、
以外にも私の心には感動という気持ちは生まれてこなかった。
もしかしたら工事の苦労はほんの序の口で、その先に何かがあるのをどこかで気付いていたのかもしれない。

ただ、工事の記憶で一度だけ嬉しかったのは、
ダラダラと仕事をする大工にいよいよ堪忍袋の緒が切れて、

「馬房を期日までに完成させないと顧客を失うことになり、ビジネスに多大な損失を受けるので
その時は責任をとってもらいますからね。」

・・・と大嘘をついてリーダーの大工を脅し、馬房をやっと完成してもらった時だった。

まだ木材の匂いが漂うような馬小屋に入った馬たちの姿を見たときは至福が心を満たし、
その日は遠く日本から見守ってくれてる友人に自分の心中をメールした。

大工に関係した体験は、「飴と鞭」の使い方を私に教えた。
プロ意識に欠け一筋縄ではいかない職人には、嘘や脅しも使いようだ・・・、と悟った。
悲しいけれど、一人で大海に出てしまった自分を守るためにはそうせざる負えないときもある。

世の中では自分の観点で常識ととらえられるものが必ずしも他人の常識とは限らない、
そんなしごく当たり前のことにやっと気が付いたのだった。

P1000022.JPG


DSC00992.JPG



ゲストハウスとバーン。
これが完成して、銀行の担当者が写真を撮りに来たとき、
「今まで見てきた牧場の中で一番きれいだよ。」
と称賛してくれた。













2015/02/04 4:28:34 | リンク用URL

Jan

29

2015

みどりのThat's 録 (最近のお話)

一昨日の朝のニュースでかなりの時間をさいて報道していたのは、
観測史上2、3回しか記録されていないほどの強烈な暴風雪が
アメリカ北東部に近づいているということ。

画面にはそれに備えて、スーパーで大量の食料を買う人や
家のガラス窓に強風対策で板を打ち付けている人の映像が流れていた。
飛行機は4500便がキャンセル。 
立ち往生した乗客は空港の床に寝ていた。

一晩明けた今朝のニュースでは、マサチューセッツやボストンで降った大雪の映像。
多くの車が屋根まで埋まっていた。
400,000人の人が足止めを受けて、経済に大きな影響をもたらした・・・とか。
空の便は、まだ600ほどのキャンセルがあるそうだ。

南東部に位置するノースカロライナは、
幸いなことに雪の被害はなかったが、この冬は雨量が多くて変だ。
例年ならパチパチと静電気が起こって、車の乗り降りには指先に電気の衝撃を受けるが、
そういったことはない。

だけど、いつまでたってもぬかっている牧場の敷地には参ってしまう。
大雨が降ると水溜りがそこらじゅうにできて、
もう少しでそれが乾くというタイミングで次の雨が来る。

DSC01936.JPG




放牧地の馬に餌をあげる時、馬の体重で踏みならされた地面はぐちゃぐちゃにぬかっている。
そこを2輪車に全体重をかけ押しながら通過するとき、
泥が埋まった長靴をがっちりつかむため、にっちもさっちも足が上がらなくなる。

そこへ立ち往生している2輪車の餌を狙って、この時とばかりに食べにくる馬たち。
進行方向をブロックするから前進はさらに困難になる。
「あっちに行ってー!!」「コラァー!!」
なんて朝から大声出して馬を追う様は人に見せられたものではない。

最近のお天気には沢山の人たちがさんざんな目にあっているが、
庶民が喜んでいるのは、安くなったガソリンの値段だ。

3日前に給油したら、1ガロン(約3・8L)でなんと1ドル97セントだった。
たしか2010年頃にガソリンが急騰した時は、ガロンで4ドル以上払った記憶がある。
・・・が、それに反して食料品の値段が上がっているのはいかなことか。
世の中の仕組みはよく分からない。








2015/01/29 0:33:32 | リンク用URL

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