![アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ](../img/head.gif)
2025.November
Sun | Mon | Tue | Wed | Thu | Fri | Sat |
|---|---|---|---|---|---|---|
1 |
||||||
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
26 |
27 |
28 |
29 |
30 |
Backnumber
Recent Articles
Feb
11
2015
「人は1人では生きてゆけない。 人という字は2本の線が支えあって出来ているんだよ。」
と、何十年も昔そう教えてくれた人がいた。
当時、私はまだこの言葉の重さが分からない20代そこそこだった。
それでも今まで忘れないでいたということは、
いずれこの言葉の意味を生きていく中で経験するという事だったのだろうか。
私が、その教えを実感として理解するに至った出来事は、
牧場建設工事とその後の時間の流れの中で起きた。
ところが美しく聞こえるこの哲学の体験は、
先に書いた大工との苦い経験と、
牧場開設直後に雇った人間とのドタバタ劇から始まった。
人はお互いに支えあっていかないと生きてゆけない。
この考えを身近な家族とか友達という形ではなく、仕事や事業に当てはめてみると、
自分1人の力ではできることは限られていて、
事業の広がりを求めるのであれば他人の力が必要だということだ。
ただ、それはどのような人間と関わっていくかで拡大か消滅くらいの差が出てくる。
私が1年前の「天使の降臨」というブログで、
「本来だったら起業する人は、もっと綿密な計画を打ち立て、
しっかりと周囲を協力体制に持っていってから行動に移すのだろう。
ところが、私の場合はあまりにも唐突の出発。
しかも単独行動で、一緒に力を合わせて事を進める人もなく、
牧場建設の旅路は、あまりにも無謀な態勢のスタートだった。」
と書いたことがある。
起業ということがどれほど大変なことかを慎重に考えなかったために、
私は数々のしなくてもよい痛い経験をし、長い寄り道もしてきた。
「人生から学ぶ」 という精神的観点なら計画性のないマイナスに見える行動は、
時として深い気付きをもたらしてくれることもあり、それはそれで良しなのだが、
牧場を「運営する」 という現実的な世界ではデミリットになる。
口外するには恥ずかしいほど仕事に対しての考えが甘く、
趣味の域を超えることができないでいた。
だけど、もし私の行動に言い訳を許されるのであれば、
起業へと導かれた当時の流れである。
ニュージャージーからノースカロライナに引っ越したとき、
グリーウェイランチからさほど離れていない所に、
当時一緒に歩を進めたパートナーとレイニングホースのトレーニング牧場を築いたことがある。
ところがまるでその動きがきっかけのような感じで、
牧場は建設中の段階でパートナーとの別れが訪れた。
私は数頭の馬を抱えながら、独り立ちしなければいけない状況になり、
馬たちを売って日本に帰るという選択もできたが、手放せないでいた。
馬に持つこういう気持ちが後にまた問題になるのだが、
それはさておき・・・
自分の牧場作りへと踏み切ったのは、馬たちが安心して住める場所を作りたい。
そして兼ねてからの夢だった、日本とアメリカの懸け橋になるような牧場を作りたい、
そんな気持ちが再燃したのが理由だ。
この動機も「経営」という理念でいけば、甘い考えだと後に気が付くのだが、
そのことは後に・・・
私は牧場建設を開始するに至って、
大工を皮切りに人を雇うことになったわけだが、
それがどういう事なのか深い部分での理解に欠けていた。
それは、こちらはお金を払う側で、
相手はそれを受け取る代わりに何かをするという単純な意味ではない。
自分のやりたいことを実現させるために、
人との関わり方を熟考し工夫するといった雇用者の持つべき役目や働きが
分からないでいたのだ。
それと同時に、牧場の経営というのは実践の世界なので、
馬をトレーニングできるというのは論外、
牧場に不可欠なトラクターの運転ができるというのも当然のことで、
トラクターに何種類もの機械を取り付けその操作も出来なくてはならない。
またホーストレーラーの牽引など、様々な場面で手腕がためされる。
牧場の簡単な大工仕事やメンテナンス作業もできなければ話にならないし、
例え賃金を払って誰かにやってもらうとしても、その内容の知識がないと足元を見られる。
そして、その頃の私はようやくホーストレーラーの牽引はできるようになっていたが、
その他の作業や牧場のメンテナンスに関しては無知だったのだ。
余談になるが、「外国人(東洋)の女性が牧場を建ててる」
そう近所の噂になっているのをうすうす感じていたとき、
隣の畑からファーマーとみられる大きな男性が3人柵越しに立ち、
私が慣れないトラクターの操作で必死になって馬場を作っているところを
観察されたことがあった。
不躾にも、いつまでもそこを去らないので、
その人たちのところまでトラクターを乗り付け
「何か用ですか。」
と聞いたことがあった。
男性の1人は、私の取った以外な行動に言葉を濁しながら、
「いや・・・、上手に運転していると思ってさ・・・」
と返事をしたが、みんな私の技量を判断しているような気がした。
どんな奴が来たのだろうと詮索していたのが分かる。
馬場で馬に乗っていた時は、馬関係者とわかる人がトラックを路肩に駐車して、
しばらく見られていたこともいく度かあった。
土地柄、わずかな変化でも目立つ地域で育った大工は、
小さな環境ならではの独特な感覚と知恵が身についていた。
私は、そのような人物を相手に後手に回り過ぎ、
これは一つの反省すべき点だったと後に気付く。
金額や工事の進め方など取決めを相手に度々伝え、
これはボランティアではなく、仕事なのだという事を自覚してもらうべきだった。
ただ、繰り返しになるが、大工は糠に釘の一筋縄ではいかない人物であるのも確かだ。
工事を依頼したとき契約書を取り交わしたが、大工にはただの紙切れ同然。
私にとって約束事と思えることは、彼の感覚だと噂話くらいの軽いものなのだ。
それではなぜこの大工を雇ったのかということだが、
自分の場所ができるまで馬を預託した牧場のオーナーの紹介だった。
「なんでも注文通りに作ってくれるし、工賃も安く上がるよ。」という話と、
実際にこの大工がそこの牧場で作業をしているところも見ていたので、
任せられると思ってのことだった。
結局、この大工は助手をしてもらうために自分で呼んだ2人の弟たちの一人とケンカをし、
その際、弟のやる仕事が気に入らないので彼を首にしてくれと私に迫った。
私は、「真面目に働く人間を辞めさせる理由はない。」 とその言葉を無視していたら
ある日突然、大工は仕事を投げ出して去って行ったのである。
工事の開始から始まった人との関わりの難しさを知る修行は、
これで終わったかのように見えたが、
天は、この直後にまた新たなる人物を私の前にもたらし、ドタバタ劇が再開することとなる。
2015/02/11 2:43:56 | リンク用URL
GREENWAY RANCH
7875 Brogden Road Smithfield NC 27577 U.S.A
TEL:1-919-915-1088 | FAX:1-919-934-5837 | E-mail:midorifjmtpc2@gmail.com
©GREENWAY RANCH. All RIGHTS RESERVED.