アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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Feb

27

2014

天使の降臨 (ジミーおじさんの提案)

ジミーおじさんがグリーンウェイランチに乾草を届けてくれるときは、
季節に関係なく、いつも長袖のシャツにファーマーの、
(そしてもちろんホースマンの)ユニフォームともいえるジーンズ姿だ。

頭にはキャップ、夏場はストローハットをかぶっている。
寒い時はシャツの上にベストとジャケットを重ね着して、
靴はスニーカー状の革靴という格好が定番だ。

DSC01453.JPG


(ジミーおじさんとお孫さんのケーシー)


ところがこの日、
車から出て来たジミーおじさんは、なんとオーバーオールを着ていた。
それに長靴をはいて、ズボンの裾はしっかり長靴に押し込んでいる。

私は、SOSの電話をしたとき、
水道管の漏れている部分を確認して欲しいと頼んだだけなので、
すっかり作業モードの服装で表れたジミーおじさんには、
ビックリさせられた。

そして、手にはキャンバス地でできている大きな袋をさげていた。
そこには水道管修理に必要な、道具や部分品がゴロゴロと入っているではないか。

いつも、段取りの良い几帳面な人だと思っていたが、
まさかこれほどとは想像していなかった。

私は、ジミーおじさんの「力になろう」という、
真摯な姿勢に平伏する思いだった。

近づいてくるジミーおじさんに、迷惑をかけることを詫びながら、
むき出しにした2つのコックと水道管を指さした。

「これから母屋へ行って水道管の栓を開けるので、漏れている場所を確認してもらえると助かります。 見つかったら、電話をください。」
私は、母屋に待機して電話があったら栓を閉めなおすつもりでそう言った。

そして、ジミーおじさんに背を向けて歩き出した時だった。
「プシュー!」という音がしたので、
何事かと後ろを振り返ったら、
一つのコックから勢いよく水が飛び出しているのが見えた。

私は、一瞬起こっている事が理解出来なくて忙しく頭を巡らした。
そして思わず、 
「えぇー! もう、なんでそれを教えてくれないの。」

少しおどけながらそう言ったが、心は恥ずかしさで一杯だった。
「そうか公共用の水を通せば分かることなのに・・・、まったくバカだよね。」

ジミーおじさんは、
私が気づかないうちに公共水と井戸水を切り替えるコックをひねったのだった。

落ち着いて考えればジミーおじさんがやったことは思いつくはずなのに、
パニック状態になっていた私の頭は、冷静に判断する余裕がなかった。

私の言葉にまったく表情を変えず、
「ここにひびが入ったんだね。」

ジミーおじさんは、コックを見つめながら
「これは全部取り替えないとだめだよ。」
とつぶやいた。

(やれやれ・・・、やっぱり大変な作業になってしまう。)
心の中でため息をつきながら、私はジミーおじさんの次の言葉を待った。

「どうしたい。」
その言葉が何を意味しているのか分からずにいたら、
「公共水と井戸水の切り替えを考えなければ、
コックを切り離して両方の水道管の切り口に蓋をしてしまえば修理は簡単に終わるよ。」

そう言いながら、
ジミーおじさんは、持ってきた袋の中をゴソゴソと探し始めた。

丁度サイズの合う蓋が都合良く2つあったので、
「そうね、緊急の場合はハイドラントとゲストハウスの水道の蛇口をホースで繋げば水を確保できるから、切り離すのが手っ取り早いかも・・・。」
と私は自分の考えを伝えた。

そうしたら、ジミーおじさんは2つの蓋を手に持ちながら、
むき出しになっている水道管にまた目をやって何か考えているようだった。

「せっかくここまで水道管を延ばしているから無駄にするのはもったいないな。 
コックと水道管、それと水道管同士を繋ぐジョイントを買わなくちゃならないけど、
それほど高い物じゃないし切り替えられるようにしておいたほうが便利かもしれないよ。」

私は、ジミーおじさんが提案した水道管の修理は大変な作業だと思った。
私の知っている水道管のつなぎ方は、カプラーという部品を使い、
2本の水道管をカプラーに差し込むとき、両方が充分しなることができるように、
かなりの距離で水道管を地上に出さなければならない。

ジミーおじさんは、水道管を指でさしながら
「ここで切断して、コックを取り付け、
その先に新しい水道管を繋いで馬屋に走っている管にジョイントで繋げば大丈夫だよ。」
といとも簡単に言っている。

私は説明を聞きながらなんとか頭の中で修理のイメージを描こうとしたが、
どうしても自分が知っている方法とはかみ合わなかった。

この先、さらに水道管にそって必要となる穴掘りの作業を考えたら、
ジミーおじさんの方法は、あまり良い案ではないような気がした。

「どうしたい・・・。 自分のやりたいようにしたらいい。」

ジミーおじさんは、いつも口数の少ない人だ。
自分の考えを人に押しつける事もしない。

ただ、そういう人が何か意見を言うときは、
その内容は、とても大事なことのように感じた。

私はほとんど考えることなく即答した。
「そのやり方に賛成。 地面の中で水の切り替えができた方が楽だし。」

ジミーおじさんは私の言葉をまた無表情に聞いて、
「本当はやっちゃいけないことだけどね。」
とポツリと付け加えた。

それは私も工事をしていたときに大工から聞いたことがあった。
だけど、もし何日にも及ぶ停電に見舞われたら、
馬たちが飲む水の確保は想像を絶する作業となる。
背に腹はかえられないのだ。

ジミーおじさんも禁止されていると知っていても、
その方法を私に勧めている。
きっと、家畜を沢山飼っている農家さんは、
同じことをしているのだろう・・・、と推測できた。

いずれにしろ、
部分品を買いに Lowe‘s というホームセンターに行かなければならない。

ジミーおじさんの言っている部分品を私は知らないので、
日を改めて一緒に行ってくれることになった。

その日は、取りあえず水漏れしているコックを切り離して、
ジミーおじさんが持ってきてくれた蓋で、
水道管の切り口をふさぐという応急処置ができた。

水道管修理の作業は完了したわけではなかったが、
その夜は、あの水を汲み上げるポンプの音から解放され、
馬たちにも普段と変わりなく水を供給できると思ったときの安心感は、
説明しがたいものだった。






2014/02/27 9:06:33 | リンク用URL

Feb

15

2014

天使の降臨 (SOS)

水道管修理のための穴掘りに疲れた私は、
シャベルをつかえ棒にして体を休めながらジミーおじさんに電話をした。

「Hi, Jimmy! It’s Midori. (ジミー、みどりです。)」
と電話に出たジミーおじさんに声をかけると、
「Hey, girl! (よぉ!)」
と返事をしてくれた。


トラクターの修理のことで相談をして以来、
ジミーおじさんが乾草を届けてくれるときをねらって、
私は日頃知りたかったことを、堰を切るように聞くようになっていた。

質問のほとんどは、牧場管理に関係する内容だった。
日常の作業を簡易化する上で、
みんながどのような工夫をしているのか知りたかった。

たとえば、春から秋口までボーボー、ワッサワッサと生えてくる雑草だが、
牧場の景観を良く見せるために生やしている芝に比べると、
伸びる速度がすごく速くて、雑草のみを刈り取るのにトラクターを使えば、
燃料や時間の無駄になる。

ところが、芝がある程度伸びるまで待って一緒に刈ろうとすると、
生命力のある雑草は瞬く間に増えていき、
芝の領分を陣取ってしまう。

それを避けるためにやむを得なく、除草剤を春先に散布するようになったが、
草の種類によってはさっぱり効果がないものもあるので、
どういった除草剤をどのように使えばいいのか、
と言ったような内容である。

何十年もの経験を積んできた生粋のファーマーのジミーおじさんは、
私が地面に生えている草を指さすと、
いとも簡単に答を出してくれる。

DSC00462.JPG


(いつも綺麗にしていたい景色。 だけど、メンテナンスにはすごく時間がかかります。)


その他、ジミーおじさんが教えてくれる個人商店の情報はすごく助かった。
例えば、農機具のパーツや必需品など、
地元の人でないと分からないような、
どこに行けば何が安く手に入り、良いサービスもしてくれる、
といったような内容だ。

たまには聞くのが恥ずかしくなるほど馬鹿げた質問もしたが、
(きっと心の中では失笑しながら)、突拍子もない会話を楽しんでいるようで、
色んなことを親切に教えてくれた。

そんな日々が過ぎていく内に、ジミーおじさんからも質問されるようになった。

「生まれはどこ?」 と聞かれ、
「日本」と答えると、
「日本人の食事はどんなものを食べるんだ?」
「日本に行くには、飛行機だろ、何時間かかるのかね?」

私が、「一回乗換えして、そこから12時間くらい。」 と答えると、
「そんなに長いあいだ飛行機に乗るのか。 遠いところだね。」
私は、「そう、ちょうどアメリカの裏側あたりだから。」 と付け加えた。

少し間を置いてジミーおじさんは、
「自分はまだ飛行機に乗ったことがない。 いつか乗るかもしれないけど、
飛行機で旅しなくちゃいけないようなこともないし・・・。」

ポソポソと語るジミーおじさんのそんな様子がおかしくて、
今度は私が楽しませてもらった。

乾草を届けてくれる度に、色々な会話を重ねるようになって、
私が1人で牧場を切り盛りしているのが分かってきたジミーおじさんは、
「なにかあったらいつでもいいから電話しなさい。」
と帰り際、見送る私に決まり文句のように言ってくれるようになった。

この言葉は本当にありがたかった。
ジミーおじさんのような、
真面目で信頼できる人を味方にできれば鬼に金棒だと思った。

いつも何かあった時、(どうしよう)、
という不安が心の中にあったので、
その優しい言葉だけで安堵することができた。

だけど、私はあまのじゃくで意固地だから、
なるべくジミーおじさんに甘えてはいけないと思い、
大変な時も自分で解決をしようとする頑なさがあった。

人に頼りすぎるのは良くない。
でも、本当に助けが必要なときに、
差しのべてくれる手を拒絶し続けるのは逆に自己中心的だ・・・。

私は、そう思うようになってきたので、
勇気を出して、ジミーおじさんにSOSを発進することにした。

電話に出たジミーおじさんに、
放馬の件も含め、ざっと水漏れに至った経緯を説明して、
その位置を確認するのに、
自分が家のコックを開く時、ジミーおじさんには現場で水道管を見ていてもらえないかとお願いしてみた。

「おう、そうか。 今やってることがもうすぐ終わるので、そしたらそっちへ行くよ。」
と快い返事がもらえた。

私はいつもの癖で、平静を装いながら、
「急がなくても大丈夫だから・・・、まだもう少し穴も掘らなきゃならないし・・・。」
そう言って電話を切りながら、なぜか、
(やったぁ〜!)
とまるで大仕事を終わらせたかのような心境になった。

穴掘りでだいぶバテたため、
その作業も少し手伝ってもらえれば助かると思ったが、
ジミーおじさんは、「腰が痛むときがある」、と言っていたことがあり、
そこまでは望めないと思った。

ジミーおじさんには、その場にいてもらえるだけでも心強い。
それで充分だ。

電話で話ができてホッとしたのか、
少し元気を取り戻して、また穴掘り作業を続けていたら、
背後に車が近づいてくる気配を感じた。

それは、いつの間にか牧場へ入ってきたジミーおじさんだった。
ジミーおじさんは牧場に来ると、いつも馬小屋の裏に車を止める。

今回もそうして、ここまで歩いて来ると思っていた。
そのため、私が穴掘りをしているすぐ側に車を乗り付けたのには、
不意をつかれてしまった。

そして、更にビックリさせられたのは、
車から出て来たジミーおじさんの格好だった。
















2014/02/15 9:03:02 | リンク用URL

Feb

09

2014

運命共同体?

・・・と、いうには大げさですが・・・、

関東地方は、なにやら大変な雪に見舞われているみたいですね。
こちらも先月下旬にノースカロライナ東部では珍しいくらいの積雪となり
テレビでだいぶ騒いでいました。

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遠く離れてはいますが、
私が住んでいるところと今年の冬のお天気の様子が似ていて、
不思議に思いました。

けれど、雪の量に関してはその比ではないくらい多いみたいですね。
1週間前、こちらは10センチちょっとでしたが、
関東は20センチ以上と聞いています。

このブログを読んで下さっている関東地方の皆様は、
くれぐれもお大事になさって下さい。

グリーンウェイランチのあるところは、経度が関東地方とほぼ同じです。
年間を通して、東京、神奈川、千葉、埼玉あたりのお天気によく似ていて、
積雪も一冬にあるかないかといった感じのため、みんな雪対策は苦手です。

四季があり、内陸部と違って海に近いので、適度な湿度があります。
そのおかげで、眼や喉、お肌に優しく、女性には嬉しい空気感です。

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先月の積雪の時は、雪が降っている最中は外に出るとみじめな感じになりましたが、
翌日は晴れて、自然の美しさに思わず見とれてしまいました。

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2014/02/09 0:38:12 | リンク用URL

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