アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

2025.November

Sun

Mon

Tue

Wed

Thu

Fri

Sat

      

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

Backnumber

Image Index

みどりのThat’s録・(馬旅2020年 No. 05号) みどりのThat’s録・(馬旅2020年 No. 05号) みどりのThat’s録・(馬旅2020年 No. 05号)
みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号)
みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号)
みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02)
みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02)
みどりのThat’s録・馬に魅せられて (馬旅2019年 創刊号01) みどりのThat’s録・馬に魅せられて (馬旅2019年 創刊号01) みどりのThat's 録 (ウィリー)
みどりのThat's 録 (ウィリー) みどりのThat's 録 (ウィリー) みどりのThat's 録 (ウィリー)
ジョイのつらつら日記(ビフォーアフターのアフター) ジョイのつらつら日記(ビフォーアフターのアフター) ジョイのつらつら日記(ビフォーアフターのアフター)

Feb

15

2014

天使の降臨 (SOS)

水道管修理のための穴掘りに疲れた私は、
シャベルをつかえ棒にして体を休めながらジミーおじさんに電話をした。

「Hi, Jimmy! It’s Midori. (ジミー、みどりです。)」
と電話に出たジミーおじさんに声をかけると、
「Hey, girl! (よぉ!)」
と返事をしてくれた。


トラクターの修理のことで相談をして以来、
ジミーおじさんが乾草を届けてくれるときをねらって、
私は日頃知りたかったことを、堰を切るように聞くようになっていた。

質問のほとんどは、牧場管理に関係する内容だった。
日常の作業を簡易化する上で、
みんながどのような工夫をしているのか知りたかった。

たとえば、春から秋口までボーボー、ワッサワッサと生えてくる雑草だが、
牧場の景観を良く見せるために生やしている芝に比べると、
伸びる速度がすごく速くて、雑草のみを刈り取るのにトラクターを使えば、
燃料や時間の無駄になる。

ところが、芝がある程度伸びるまで待って一緒に刈ろうとすると、
生命力のある雑草は瞬く間に増えていき、
芝の領分を陣取ってしまう。

それを避けるためにやむを得なく、除草剤を春先に散布するようになったが、
草の種類によってはさっぱり効果がないものもあるので、
どういった除草剤をどのように使えばいいのか、
と言ったような内容である。

何十年もの経験を積んできた生粋のファーマーのジミーおじさんは、
私が地面に生えている草を指さすと、
いとも簡単に答を出してくれる。

DSC00462.JPG


(いつも綺麗にしていたい景色。 だけど、メンテナンスにはすごく時間がかかります。)


その他、ジミーおじさんが教えてくれる個人商店の情報はすごく助かった。
例えば、農機具のパーツや必需品など、
地元の人でないと分からないような、
どこに行けば何が安く手に入り、良いサービスもしてくれる、
といったような内容だ。

たまには聞くのが恥ずかしくなるほど馬鹿げた質問もしたが、
(きっと心の中では失笑しながら)、突拍子もない会話を楽しんでいるようで、
色んなことを親切に教えてくれた。

そんな日々が過ぎていく内に、ジミーおじさんからも質問されるようになった。

「生まれはどこ?」 と聞かれ、
「日本」と答えると、
「日本人の食事はどんなものを食べるんだ?」
「日本に行くには、飛行機だろ、何時間かかるのかね?」

私が、「一回乗換えして、そこから12時間くらい。」 と答えると、
「そんなに長いあいだ飛行機に乗るのか。 遠いところだね。」
私は、「そう、ちょうどアメリカの裏側あたりだから。」 と付け加えた。

少し間を置いてジミーおじさんは、
「自分はまだ飛行機に乗ったことがない。 いつか乗るかもしれないけど、
飛行機で旅しなくちゃいけないようなこともないし・・・。」

ポソポソと語るジミーおじさんのそんな様子がおかしくて、
今度は私が楽しませてもらった。

乾草を届けてくれる度に、色々な会話を重ねるようになって、
私が1人で牧場を切り盛りしているのが分かってきたジミーおじさんは、
「なにかあったらいつでもいいから電話しなさい。」
と帰り際、見送る私に決まり文句のように言ってくれるようになった。

この言葉は本当にありがたかった。
ジミーおじさんのような、
真面目で信頼できる人を味方にできれば鬼に金棒だと思った。

いつも何かあった時、(どうしよう)、
という不安が心の中にあったので、
その優しい言葉だけで安堵することができた。

だけど、私はあまのじゃくで意固地だから、
なるべくジミーおじさんに甘えてはいけないと思い、
大変な時も自分で解決をしようとする頑なさがあった。

人に頼りすぎるのは良くない。
でも、本当に助けが必要なときに、
差しのべてくれる手を拒絶し続けるのは逆に自己中心的だ・・・。

私は、そう思うようになってきたので、
勇気を出して、ジミーおじさんにSOSを発進することにした。

電話に出たジミーおじさんに、
放馬の件も含め、ざっと水漏れに至った経緯を説明して、
その位置を確認するのに、
自分が家のコックを開く時、ジミーおじさんには現場で水道管を見ていてもらえないかとお願いしてみた。

「おう、そうか。 今やってることがもうすぐ終わるので、そしたらそっちへ行くよ。」
と快い返事がもらえた。

私はいつもの癖で、平静を装いながら、
「急がなくても大丈夫だから・・・、まだもう少し穴も掘らなきゃならないし・・・。」
そう言って電話を切りながら、なぜか、
(やったぁ〜!)
とまるで大仕事を終わらせたかのような心境になった。

穴掘りでだいぶバテたため、
その作業も少し手伝ってもらえれば助かると思ったが、
ジミーおじさんは、「腰が痛むときがある」、と言っていたことがあり、
そこまでは望めないと思った。

ジミーおじさんには、その場にいてもらえるだけでも心強い。
それで充分だ。

電話で話ができてホッとしたのか、
少し元気を取り戻して、また穴掘り作業を続けていたら、
背後に車が近づいてくる気配を感じた。

それは、いつの間にか牧場へ入ってきたジミーおじさんだった。
ジミーおじさんは牧場に来ると、いつも馬小屋の裏に車を止める。

今回もそうして、ここまで歩いて来ると思っていた。
そのため、私が穴掘りをしているすぐ側に車を乗り付けたのには、
不意をつかれてしまった。

そして、更にビックリさせられたのは、
車から出て来たジミーおじさんの格好だった。
















2014/02/15 9:03:02 | リンク用URL

Page Top