![アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ](../img/head.gif)
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Nov
07
2014
先日、9年ぶりに落馬をしてしまった。
乗馬を始めた頃は、
「落馬は上達するための関門で通っていかなくてはならない。」
「落馬の数だけ上手くなる。」なんて言ってた人もいた。
そんな環境下で乗馬をしていたため、
若いころは落馬をしても、「また落ちちゃった。」とケソッとしていたものだ。
落馬はしないに越したことはない。
私の場合は、怖いというより怪我の度合いによっては作業ができなくなるのが心配だ。
とくに今は一人で馬の世話をしているので、
最低、日常作業の飼いつけと馬房掃除、放牧ができなくなるのは困る。
そんな訳で、落馬と病気だけは気を付けよう、と自分に言い聞かせてきた。
グリーンウェイランチを始めたころはバイトを雇ったこともあるが、
来る人たちは馬を相手にするには、やることが危なっかしくて見ていられない。
その上、仕事は中途半端で逆に気を揉むことになり意味がないと分かった。
そんな状況なので若馬に乗り始めたときは慎重に行動し、
馬にも自分にも危険のないよう再三確認することを怠らなかった。
ところが、順調に馬たちが人に乗られることを覚えていくにつれ、
私はホッとしたためかミスを犯してしまった。
こんなことはなにも乗馬だけでなく、
なにかに取り組むとき、教訓として心しておくべきことだが、
私はこの日、あってはならない心理状態で仕事をしていた。
・・・急いで事を進め、そのうえ慣れから油断をしており、集中していなかった。
2頭いる3歳馬の内、この日は比較的おとなしい馬にまたがった。
最後に乗った時から3日があき、
少しうるさい(元気)かな、と思ったけど、
騎乗前の調馬策ではそんな様子は見せずいつも通りだった。
(調馬策:馬にロープを繋ぎ人は地上から馬にコンタクトをとりながら運動を促す方法)
時間を気にしていた私は、これなら大丈夫と調馬策を早めに切り上げ、
馬の背にまたがった。
常歩でいつもの通りゆったりと落ち着いていたので、
早々に速歩を求めた。
そしたら半周もしないうちに、馬はハミに抵抗し速歩をしながら顔を左へ右へと向けるのだ。
私は馬の姿勢を真っ直ぐに保つため、
脚で追いながら拳を左右でバランスさせ軽いコンタクトで馬を動かしたが、
馬の執拗な抵抗に、こちらも躍起になり力で制しようとしたためけんか状態になった。
馬も私と同様で、きっとアドレナリンがパッパと出たためだろうか、
たまに物見(何かに驚く)をする場所でポンと跳ねたのだ。
大した跳ね方ではなかったが、
私はバランスを崩し右上半身でドスンと地面に着地してしまった。
幸いどこも痛いところがなかったので、すぐに起き上り
もう一度調馬策をして乗り直した。
一部始終が起こっていた時は、自分自身も勢いがついていたので無心で行動できたが、
ほとぼりが冷めた時、ショックの感覚がジワーと襲ってきた。
以前だったらこれくらいの馬の動きで落馬をしていただろうか・・・。
あれほど注意をしていたのに、この時の読みの甘さはどこからきたのだろうか・・・。
想像がつかない判断ミスと足の衰えを実感し、
夕方の飼いつけの後、まだ興奮が収まらない私は、
ジミーおじさんが木の切り株をパワーシャベルで取り除いた後に残った根を
暗くなるまでノコギリで切り続けた。
どうしても落馬の事実を受け止めることができず、
体を動かすことで心の整理ができるのではないか、
というような感覚になっていた。
そうしているうちに、なにか右の肋骨あたりに違和感を感じた。
シャベルで穴を掘って根っこが見えるようにする作業を続けていたら
その違和感はビリッと電気が走るような痛みに変わった。
ずっと昔にも経験したことのある痛み方。
落馬の衝撃を受けた肋骨にさらに負荷をかけたため
ひびが入ったようだった。
夜には、咳やくしゃみをするたびに顔をしかめ、
ベッドに横になると痛みはさらに増した。
2014/11/07 4:19:46 | リンク用URL
Oct
02
2014
身を乗り出して見たくなるようなその馬の演技は、
マニューバーの動きそのものもすごかったが、
スピンの前のヘジテート(一呼吸置く場面)では、
微動だにしないで頭を下げたまま乗り手の指示を待ち、
その様子から、馬の従順なメンタリティーが感じられ健気でさえあった。
スピンの後のサークルも同じように頭をぐっと下げたまま、
乗り手の手綱操作は必要ないような完璧さでガイドもスピードコントロールも演じる。
大きく早いサークルから小さくゆっくりとしたサークルへ移行する時は、
ハミが馬の口に触れることはなくそれは見事だった。
レイニングの競技でもっとも大事とされている、
「馬が自ら動いている様子」がうかがえる見本的なパフォーマンスだ、
・・・とそう感心していた次の瞬間だった。
スローの右サークルから左サークルへ移行するリードチェンジで
まさかと思われるようなキックアウトが起こった。
それも今まで見たことがないような見事なキックアウトで、
馬の姿勢はぶれることなく外側の後肢だけがパッと高く蹴り上げられた。
駈歩のリズムは乱れず、まるで演技の一部でもあるかのようなスムースな動きだった。
今までの流れからは想像できない、反抗と見なされるペナルティーを出したこの馬は、
耳を背負ったり尻尾を振るなど、乗り手の扶助や走行することへの不快感を表現することなく
キックアウトしたため妙に感心してしまった。
大抵なにか「悪さ」をする馬は、それを予言するような表情をすることが多いからだ。
おまけに大きなペナルティーポイントが生じるキックアウトを
馬は左リードから右リードへ移る2回目のリードチェンジでもやってのけた。
キックアウトは厄介な競技中の馬の動作で、
一瞬のうちに起こるため乗り手はどうすることもできないばかりか、
馬が一度それを覚えるとこの癖を直すのはとても難しい作業となる。
なぜなら、準備馬場やホームグランドではやらないのに、
競技中にこの癖を出すケースが多いので再調教がしにくい。
特に競技慣れした馬は、今が「本番」というのを分かっていてやることが多い。
この時は2人のジャッジによって審査されていたため、
一回のキックアウトでペナルティーは10点となった。
左右合わせて20点のペナルティーは、
他のマニューバーでどんなに素晴らしい演技をしても穴埋めできるものではない。
もし、仕上がったレイニングホースを買う場合、
この手の馬の癖は気を付けるべきだと思う。
理由は一つ、試乗中に目を見張るような動きができたとしても、
競技馬場で良い結果を出すのはギャンブルに近いものがあるからだ。
この天国と地獄を見た衝撃的な走行から
私はレイニングの難しさをつくづく考えさせられた。
最後のクラス、オープンフチュリティーで上位のスコアを出した馬たちの演技を思い出しても、
その完成度は私がレイニングを知り始めた15年前から比べると明白な違いがある。
馬場で演じる競技馬たちのトップラインは丸くなり、顎を譲り、頭を下げて走行している。
一昔前のように背を張ったような感じでスライディングストップをする馬たちはいない。
(1985年のレイナーマガジンの表紙)
(2014年、最近のレイナーマガジンの表紙)
その背景には調教技術の進歩もあると思うが、
馬がこれだけの姿勢を3歳までに作れるようになるには
大変なトレーニングを受けているはずである。
当然、落ちこぼれていくものも多く、
能力があっても体を壊してしまう馬もそこには多くいる。
そして、無事にフチュリティーで好結果を出せた馬たちだが、
競技馬としての生命は決して長いものではないのが現実だ。
若馬がまだ体も出来上がらず、
精神的にも幼い時期から厳しい調教をせざる負えないレイニング競技のシステムは
どう考えたらよいのだろう。
今は昔のようにカーボーイ的な荒々しい調教は見直されるようになってきたが、
競技中の馬の動きがかなり馬術的になり、好成績を出すには完成度の高さが必要となってきた今、
私の知るここ15年間の進歩を見ても、3歳でフチュリティー(新馬戦)があるという
調教期間の短さは無理があるように感じてならない。
もう少し馬たちを熟成させながらコツコツと仕上げていけるような競技システム、
そしてトレーニングをする者は、馬のウエルフェアを考える余裕が持てるような
環境作りを願うのは間違った感覚なのだろうか。
翌日の作業のことを考えると、
早く帰宅して休みたいと思いながらも最後まで見入ってしまった競技会。
オーブンフチュリティーは、11時半に終了しそそくさと帰路へ。
アメリカの暗い高速道路を運転しながら、また私の考え過ぎる悪い癖が出てしまった。
2014/10/02 23:48:42 | リンク用URL
Sep
30
2014
からりと秋晴れになった27日の土曜日。
このところずっと牧場にこもりっきりなので、
気分転換にウィリアムストン競技場にでかけることにした。
この日は最後のクラスでオープンクラスフチュリティーがあったけれど、
それを見たさにというより音楽を聴きながらドライブがしたかった。
ちょっとした気晴らし。 でもやっぱり馬関係の行動になってしまう。
どこまでも体に、そして脳みそに染み付いてしまった馬の匂い。
悲しいのか喜んでいいのかさっぱり分からない。
午前中に2頭乗り、早めに馬たちに飼いつけをして3時半に家をでた。
I・95号線を北上し、途中でハイウェイ64号線に乗って東に進む。
この I・95 は、Interstate 95 と言って、アメリカのもっとも東に位置している高速道路で
いくつもの東海岸にある州を南北に突っ切っている。
これに乗っていれば北はメイン州から南はフロリダ州まで行ける。
ノースカロライナから北へ10時間も運転すれば摩天楼がそびえ立つニューヨークにも行ける。
(季節がら中央分離帯のコスモスが見事だった)
I・95 のサインを見ながら、
このままずっと北上して大都会を久しぶりに見たいと思った。
昔、ニュージャージーに住んでいた時はエネルギッシュな都会の空気に触れたくて
何回となくひょっこり牧場を抜け出したものだ。
(いつかきっとまた行こう)、と自分に約束してやっと襲ってきた誘惑から解放された。
渋滞もなく秋晴れの中、
取るに足らぬ色々なことが脳裏をかすめた道中、
約1時間半で会場に到着した。
Summer’s End Celebration と名付けられた競技会は盛況で、
到着した時はまだ普通のノンプロのクラスが走行中だった。
オープンフチュリティーは、レギュラーのノンプロクラス、
そしてノンプロフチュリティーのあとになるので、だいぶ時間に余裕があった。
プラプラと会場を歩き、知り合いに会えば立ち話をし、
準備馬場でみんなが乗っているのをしばらく見た。
これから競技に出る人や、出番とは関係なく馬の調整をしている人たちがサークルやストップ、スピンを忙しく他の人馬を避けながら行っていた。
その中で、若い血気盛んなトレーナーが2歳馬をバシバシとしごいているのが目についた。
恐らくその若馬は初めて競技場へ来たのだろう。
まだ周囲の雰囲気に慣れず、きょろきょろしているところをこれでもかとしごかれていた。
馬上のトレーナーからは、
バタバタする馬を乗りこなし得意になっている様子が伺えた。
私には、感心するような光景ではなかった。
競技会の観戦は、普段はフチュリティーやダービーなどのメインイベントを見るために訪れる。
そのため、ただのノンプロクラスはあまり見る機会がないので、
この日は思わぬ貴重な時間を過ごすことができた。
本心は観戦というより座って体を休めたかっただけなのだが、
観客席でみんなの走行を見ていたらオープンクラスの選手ではやらないような事を
経験の浅い選手が行い、なかなか興味深いものだというのに気が付いた。
ほとんどは競技中にやってはならないことで、
ノンプロの選手がついやってしまう内容となるが、
このような知識はレッスンをするときにとても役に立つ。
ノンプロと言っても、
アメリカでは他人の馬のトレーニングやショーイングをしないだけで、
馬にどっぷりと浸かっている乗り手もいて、プロより技術が上のケースもある。
リミテッドノンプロ、インターメディエットノンプロ、ノンプロと3つのカテゴリーが一緒のクラスで走行するため、明らかにビギナーと分かる人もいればプロ顔負けの人もいる。
このクラスではとても印象に残る馬がいた。
優勝間違いなしのパフォーマンスだったにも関わらず、
すごいペナルティーが「起こってしまった」ためにどん底を記録してしまった走行。
ランイン(駈歩で馬場入場)のパターンだったのでまずその登場にびっくりした。
その馬はいいリズムで入場しながら、
まるで地面を舐めるがごとく頭を下げて走っているのだ。
近くに座っていた人が、
「ひざで顎を蹴飛ばしそう」
と表現するほどに頭の位置が低かった。
それはストップの体制に入る時も変わらず、
普通だとたいていランダウンの後半では首が上がってくるのにその様子は全くない。
そして、腰を深く落として体で弧を描くという表現では足りない様な、
まるで U の字を逆さにしたイメージで綺麗なスライディングストップをきめた。
次に続くマニューバーのスピンも頭の位置は変わらない。
左右とも早くてバランスがとれたすごいスピンだった。
かなりの身体能力を持つ馬だというのは誰の目にも歴然としていたし、
このまま走行を無事に終わらせれば高得点間違いなしと思われた。
ところが、勝負は魔物なのだ。
・・・というよりレイニングホースの不可解な部分をまざまざと見せつけられた
後半の演技がそのあとに待っていた。
2014/09/30 0:15:44 | リンク用URL
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