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21
2013
年が明け1月になると、レイニングホースを生産している牧場は早々と2歳になった馬達のブレーキング(初期調教)を開始した。
その若馬たちは来年のフチュリティーを目指してトレーニングされることとなる。
サラブレッドと違い中間種のレイニングホースは管理が比較的楽なのと人手不足も関係して、仔馬の頃は病気怪我でもしない限り、予防的治療をする以外はほとんど人の手にかかることなく2歳まで放牧地で育つ。
ある程度のホルターブレーキングはするが、そのあとはほっておかれるので半野生馬のような状態だ。
2歳といっても、仔馬は春に生まれるようタイミングを計りながら生産されるため、実際には生後20ヶ月前後である。
グリーンウェイランチにもその年齢に達した仔馬が今年は2頭いるが、まだあどけなく体は小さい。
そんな仔馬達を見ていると、放牧地でのんびりと育っているものをいきなり馬房という狭い環境におき、落ち着く間もなく乗るための調教を始めるのは可哀想な気がする。
(まだ体つきが華奢な2歳馬たち)
当然、人間と密に接してきた時間が少なく慣れてないため人の動きにいちいちビクッとし、その様な状態で翌日から円馬場での調教が慌ただしく始まるのだ。
この時期、馬房からは2歳馬の不安ないななきが聞こえてなんとも騒々しくなる。
グリーンウェイランチでは他のレイニング牧場とは違う育成方法を選び、仔馬達をゆっくりと慣らしながら育てることにしているが、一般的には上記のような流れが毎年繰り返される。
そして、その流れはとても速く、馬の性格にもよるが扱いやすい性質だと鞍付けから乗り手が騎乗した状態で動かすまでを2〜3日でやってしまう。
通常、馬のブレーキングは若手トレーナーの基本的な仕事である。
彼らのほとんどは、レイニングホースの調教を覚えるために牧場へ就職してくるが、それは武者修行にも似ていて技術が伴わないと首にされ、またそこに自分の求める物がないと辞めていく。
人の出入りを見ていると、短くて数ヶ月、長くても2〜3年で他へ移動してしまう。
1箇所の牧場で2〜3年勤め上げられるような乗り手はそれなりの技術も身につき信用も得るので、たいがい引き抜きにあって他へ移ることが多い。
新米のトレーナー達はたいがい子供のころから馬に乗っているため騎座がしっかりしていて、馬が暴れても落馬せずに乗りこなすので私は感心しながら見ていたのを思い出す。
彼らは未調教の馬は乗りこなすが、レイニングはまだ未知の分野なので先輩トレーナーのやることを見ながらテクニックを学ぶ。
初期調教で仔馬がおとなしく駈歩までするようになるとハミや脚にゆずることを教えたり、スピンやストップなどマニューバーのとっかかりの部分を教えながら自分の技術も磨いていく。
若手トレーナーによって馬が安定してくると、能力のある馬はヘッドトレーナーへと渡される。
レイニングホースの調教は時間との勝負で、馬達は驚くほどに早く様々な動作を教え込まれる。
2歳馬のトレーニングを開始した時点で、最初の目標としてローカルのフチュリティーが翌年の夏頃から始まるのでそれに間に合わせるためである。
また、フチュリティーの出場を目指しているノンプロや投資目的の人が、有能な若馬を求めるので、より仕上がっているほうが売りやすいためでもある。
若い馬達には気の毒な状況だが、フチュリティーという競技会は大きくお金の動くマーケットなのでレイニングホースの生産牧場はそこにフォーカスする。
レイニングの競技を見た人には演技中の馬の動きがどれだけ激しいものか分かると思うが、当然その様な動きを可能にするためトレーニングはかなり厳しいことを馬に要求していく。
拳や脚の使い方はブリティッシュ馬術をする人からは考えられないほど強く過激である。
乗り手の意志を理解するのに鈍い馬などは、お腹からは拍車によって、口からはハミにより受ける傷で血を流す事もある。
トレーナーは調教中のその一鞍で馬が良い動きをするまでやめることはしないので、見た目にはほとんど馬との戦いのような状態になる。
そしてやっと納得できる動きを馬がするとその場で下馬をして、他の人が連れてきた次の馬の調教にとりかかる。
トレーナーにしごかれる羽目になった馬は調教が終わると、頭から足に流れるほどにビッショリの汗をしたたらせながら、息荒く洗い場へと引かれていくのだ。
グルームによって洗い場で馬装を解かれた馬はシャワーで汗を流してもらうと馬小屋へ入れられる。
グルームも同様でひっきりなしに運ばれてくる馬の手入れに慌ただしく対応するため、その様子は機械的で生き物への暖かい感情は伝わってこない。
大きな牧場は様々な作業が分担されるので日常の飼い付けや馬房掃除はほとんど馬のことは知らない、そのような作業だけをする人達によって行われる。
馬達は調教が開始されると沢山の人に囲まれるが、牧場で仕事をしている人からは優しい愛撫や言葉はなく仕事の対象物として扱われている。
唯一、馬が優しくされるときはオーナーと巡り合うことができた馬くらいだろう。
牧場で働く人達は、みんな馬が好きだからその仕事を選んだはずだ。
それなのに馬達はその人間から愛情を持って扱われてないように見えるのは何故なのだろう。
2013/01/21 9:08:16 | リンク用URL
Dec
08
2012
レイニングホースが一生の内に1度だけ挑戦できる2012年オクラホマのフチュリティーが1週間前に終わった。
3歳の馬だけが出場できるフチュリティーは、レイニングホースがもっとも注目を浴びる競技会だ。
この大きな競技会にトレーナーとして誰が上位に入ってくるのか知るのも楽しみの1つだが、
やはり私としては好成績をだす馬の血統の方に目がいってしまう。
特にNRHAが主催するオクラホマのフチュリティーは、レイニングの能力を競うため全米から馬が集まり、
わずか2週間の内に幼い3歳馬が3走行をして結果を出すという過酷な試合で、興味がある反面jその裏側を知っている者として時に複雑な気持ちになるときもある。
今年は、オープンとノンプロのクラスで650頭あまりの3歳馬がエントリーされ、その内のわずかなスクラッチ(キャンセル)を除いてほとんどの馬達がファーストゴー(一次予選)でその舞台を踏むことができた。
セカンドゴー(2次予選)でその数はだいぶしぼられ、2回の予選の合計点で上位をしめた馬達がファイナル(決勝戦)に進出できる。
今年のファイナルでは、オープンクラスで62頭、ノンプロクラスで51頭が残った。
オープンクラスの優勝馬はケイシー ディアリーを乗せたガナーの子、アメリカズネクストガンモデルが優勝し、
ノンプロではマンディー マッカチャンを乗せたやはりガナ−の子、カスタマイズド ガナーがジェッシー アズマッセンを乗せたスマート チャカと同点優勝した。
ガナ−の産駒はまたその能力を世間に知らしめ、仔馬のセリではやはりガナ−の産駒が最高値を出して根強い人気を物語った。
手前味噌だが、ガナ−の血を引く繁殖牝馬を基礎として仔馬を生産している私としては嬉しいかぎりである。
ファイナルに残った3歳馬たちは抜き出た才能を一生1度の晴れの舞台で証明し、馬主と乗り手に賞金をもたらした。
賞金額は数年前とくらべると断然の差がある。
以前のフチュリティーでは、ファイナルに残るという大変な関門を抜けても上位に入らないと賞金がもらえなかったという記憶があるが、NRHAのルールが変わりオクラホマのフチュリティーと4歳、5歳、6歳を対象にしたダービーにエントリーするためには参加するしないは別として新ルールによって馬をノミネートしなくてはならなくなった。
その額は当歳で300ドル、それ以降になると馬の年齢と共に費用はかなり高額になる。
(ちなみに年が明け1歳となった仔馬に対しては2000ドルのノミネートフィーとなる。)
ノミネートのルールに関しては、当歳を所有する馬主としては思案のしどころで、
まだ仔馬の内は血統や体型のみで能力を推測しなくてはならない段階なので、判断をすることは賭となる。
しかし、この新しいルールによってフチュリティーやダービーで好成績を出した馬には、以前とは比べものにならないほどの賞金が支払われるため意味はあると思う。
(今回フチュリティーのオープンクラスで優勝した人馬の賞金額は165,000ドルだった。)
良い血統のレイニングホースを生産し、競技の最高峰で活躍できるように育て上げるということは、
かなりの支出を覚悟しなくてはならないので、運良く賞金がもたらされればその苦労も報われることとなる。
オクラホマのフチュリティーに無事こぎつけ、ファイナルの舞台を踏むことのできた3歳馬は、彼らに関わる人達から自慢され世間からは注目を浴びる。
2歳の年明けから厳しい英才教育を受けてここまでたどり着いた馬達の気持ちは別として、人間に価値を与えられた彼らはやはり幸せと言って良いのだろう。
だが、その華やかな舞台の裏に無視をしてはいけない悲しい事実があることも忘れてはならないと思う。
フチュリティーが終わったばかりで、盛り上がっているところに水をさすようで書くことに気が引けるが、過去に自分が見てきた現実も知ってもらいたいと思う。
2012/12/08 8:35:06 | リンク用URL
Nov
25
2012
順調にステップアップしていくライダーとダイヤモンド♪
いょいょ放牧地から出て厩舎に行く所にまで来ました\(^o^)/
2頭とも居馴れた放牧地から出るので、少し緊張ぎみだったけど、
ばたついたりとかもなく、厩舎の入り口まで来れたーー☆
途中人より前に行っちゃったりしたときがあったから、
いったん止まって、ゆっくりバックさせて、
人より前に行っちゃだめだよって伝えながらゆっくりと厩舎まで行きました。
この時も、いきなり動くのは禁物!!
ただでさえ放牧地から出て緊張気味で,
周囲の音や動きに敏感に反応するようになっている時に
前に行ったかと言って引き手をいきなり引っ張りでもしたら、
もしかしたら引き馬されることが恐いことだって思っちゃうかも知れない(@o@;)
厩舎の入り口まで来たら、ライダーがストップしちゃったΣ(@▽@;)
何でかなと思ったら、そこはちょうど土とコンクリートの境目!
どうやら、初めて見るコンクリートが恐いみたい(^^;)
この時も、無理に引っ張って行くことはせずに、
馬自ら一歩を踏み出すのを根気強く待ってあげることが大事!!
無理に引っ張って連れて行ったとしても、その場所が恐いところだって思っちゃって、
次に同じとこに来たらまた止まってしまうm(_ _)m
そうならないために、馬が自分の意志で入ってくることが大事になってくるんだなぁ。
(この写真は厩舎から外へ出て行くところです。)
ライダーは、すこしのあいだコンクリートや周囲の臭いを嗅いで、恐る恐るだけど中に入ってきた☆
ダイヤモンドも、ライダーの後だったから止まりはしたけど、すんなりと入ってきた☆
ようやく厩舎に入った2頭は、しばらく通路を行ったり来たりさせて
厩舎の環境に馴染んでもらった後、
今度は、つなぎ場に入ることにも馴れてもらう事にとりかかった。
通常、馬をつなぎ場に入れる時は
まず頭からつなぎ場に入って、クルッと回転させて正面を向かせて終わり。って感じだけど、
つなぎ場を全く知らない仔馬に対して
この一連の動作を一気にやると、当然、慌ててしまうから、
最初は、一個ずつ進まないといけない。
まずは、頭から入ったらいったん止まって、
ライダー達が周囲の臭いを嗅いだりし始めるから待ってあげる。
そして、その状態のまま体に触れてあげたり、声を掛けたりしてあげて、
だんだん落ち着いてきたら、ゆっくりと正面に向かせていく。
あとは、そのままの状態で動かずにいられるまで待ってあげる事をくり返して、
充分につなぎ場の環境に馴れて、次に、引き手の状態でブラッシングや足上げをしていきます。
つなぎ場でされることに馴れて、初めて次の段階に進んでいきます。
無口をチェーンで止めてしまうまでには、まだまだいくつもの段階を経てから
初めてできる事なんだなぁ(@o@)!!!
仔馬に対して馴致するときは、何事も根気強く、ゆっくりと段階を分けて
していくことがスムーズに進む秘訣なんだと言うことがわかりました(>_<)ゞ
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このブログは10月3日に古賀さんが書いてくれたものです。
2012/11/25 1:04:44 | リンク用URL
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