アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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Dec

03

2014

レイニングの採点とペナルティーポイント

今回は、レイニングの競技中にライダーがもっとも避けたい
ペナルティーポイントについて説明したいと思います。

NRHA の 「Rules for Judging」 を参照しながら書きましたが、
翻訳すると理解しにくい個所もあると感じ、文章を補足しながら
ペナルティーの種類とポイントを説明するのに必要な部分のみ抜粋してあります。

ジャッジがレイニングの走行を採点するとき、
演技の良し悪しに応じて加減点していく作業の他に、
ペナルティーの有無にも注目しながら審査します。

ペナルティーを簡単に説明すると、

 ・パターンを走行する上で、指定されていない動きを馬がした場合
 ・ライダーが馬に対して禁止されている行為をした場合

そのような時に、ペナルティーポイント(マイナス点)が付けられます。
ペナルティーは、
マニューバーごとに演技の良し悪しを審査する加点、減点とはまた別のものです。
パターンの走行中にどこにでも起こり得ることで、
スコアシートには加減点とは区別して記録されるようになっています。
ペナルティーは、1/2ポイントから始まり、上限はありません。

加減点は馬の動きを中心に行われますが、
ペナルティーはライダーも審査の対象になっています。


下記は、ライダーや馬のどのような動作でペナルティーが生じるかの内容です。

・ライダーによる5ポイントのペナルティー:

   ・腹帯の前で拍車を使用する。

   ・手を使って馬を驚かしたり、誉める(愛撫など)。

   ・鞍をつかむ。
   (鞍につかまることが許されている10歳以下のユースクラスは除く)


・馬による5ポイントのペナルティー:

   ・キックする、噛みつく(ライダーの足など)、立ち上がる、
   (足で地面など)強く叩く、跳ねるなど馬の明らかな反抗が見られたとき。



レイニング競技の特徴は、指定されたパターンの開始から終了までが駈歩で行われ、
そのパターンの中の決められた数々のマニューバーを駈歩で繋いでいきます。

下記は、馬の歩様に関係しているベナルティーの内容とポイント。
その他スピンやロールバック、
そしてマニューバーを遂行する時の馬場の位置付けに関しての
ペナルティーの内容とポイントです。

2ポイントのペナルティー:

   ・ブレークオブゲイト(駈歩の最中に速歩が入る)
    注:NRHAのグリーンクラスはシンプルリードチェンジ
      (リードチェンジをするときに速歩を入れる)
      が許されているため、このペナルティーは発生しない。
 
   ・スピンやロールバックの時に膠着する。

   ・センター(馬場の中央)にてキャンターデパーチャー(駈歩発進)で演技が開始される
    パターンで、センターを通過する前に駈歩をする、
    またはセンターで停止か常歩をせずに駈歩発進をする。

   ・ランイン(駈歩で馬場に入場するパターン)で最初のマーカーに達する前に
    駈歩をしていない、または駈歩が速歩になる。

   ・指定されたマーカーの手前でストップの体勢をとる。


リード(駈歩の手前)のペナルティー:サークルの開始、サークルを走行中、
またはフィギアエイト(八字乗り)を走行中に:

   ・駈歩がアウトオブリード(手前が逆だったり不正駈歩)の場合1ポイント発生する。
    アウトオブリードのベナルティーは累積され、1/4周ごとに1ポイント追加される。
    
   ・リードチェンジの時に、指定された場所より1ストライド(1完歩)遅れた場合は、
    1/2ポイントのペナルティーが発生する。

   ・サークルの開始(駈歩発進)で速歩が2ストライドまで入った場合、
    または、ロールバック後の駈歩をするにあたって速歩が2ストライドまで入った場合は、
    1/2ポイントのベナルティーが発生する。

    2ストライドを超える速歩で1/2周以内のサークルを走行、
    あるいはアリーナの1/2以内の長さに渡って
    速歩をした場合は2ポイントのベナルティーが発生する。


(ストップ&ロールバック後の直線に続き、次のランダウンに入る前Uターンしながら弧を描く)半円を走行中:
    半円の最初の半分、またはそれ以内で正手前の駈歩をしていない場合は、
    1ポイントのペナルティーとなる。
    さらにそれが半円の後半まで及んだ場合は2ポイントのペナルティーとなる。


ストップへのアプローチ:

   ・ストップあるいは、ストップ&ロールバックへ向けてアプローチをするときに
    壁から最低20フィート(約6メーター)以上あけていない場合。
    1/2のペナルティーが発生する。


スピンのペナルティー:

1/2ポイント
   ・1/8周(45度)までのオーバースピン(停止位置を超えるスピン)、
    アンダースピン(停止位置に届かないスピン)。

1ポイント
   ・1/8周(45度)以上1/4周(90度)以内のオーバースピンとアンダースピン。



レイニングの審査でジャッジが決める加減点は、それぞれのマニューバー事に
最低の減点で -1 1/2点、最高の加点でも 1 1/2点です。
それに比べ、ペナルティーというマイナスのポイントはたった1回でも時として
最終的な得点を大きく左右します。

レイニングの競技に参加するライダーが良い結果を望むのであれば、
まずはペナルティーを発生させないよう、 
正確にパターンを走行することがもっとも重要だと言えます。





2014/12/03 8:16:03 | リンク用URL

Nov

27

2014

レイニングの競技と採点の仕組み

(前文)

今年最後で最大のレイニング競技会がいよいよオクラホマで始まります。
今月25日から入厩が許され、28日から競技の開始です。

フチュリティー(新馬戦)のファイナルは12月6日で、
レイニングの競技会としては最長期間に渡って行われます。
2014年、オープンクラスの3歳馬が競うフチュリティーには、
411頭が参加する予定となっています。

フチュリティーにエントリーされた馬たちは、
ファーストゴーとセカンドゴー(セミファイナル)の2回の予選を走行して、
その合計点で上位に位置した人馬が、ファイナルに進出できます。

まずは、ファーストゴーがファイナルへの最初の関門になりますが、
ファーストゴーのスコアがセミファイナルへ行ける基準に達さなかった場合、
その人馬のファイナルへの挑戦はそこで打ち切りとなります。

晴れてファイナルまで駒を進めることのできた馬たちは、
わずか10日の間に、ファーストゴー、セミファイナル、
そしてファイナルの3回の走行をするわけです。

その中には、諸々の事情でスクラッチ(棄権)する馬もでてくるので、
実際に競技に挑む頭数は減りますが、ファイナルに無事残った若馬たちは、
とても厳しい日程をこなさなくてはなりません。

今では、その様子を会場まで行かなくてもインターネットによって
ライブで走行が見られるようになりました。
(NRHA Futurity を検索してください。)

これまで、ブログでレイニング競技のことを綴ってきましたが、
オクラホマの大会と時期が重なり、ちょうど良い機会でもあるので、
採点の仕組みを簡単に説明させていただきます。

大まかな説明となりますが、まだレイニングの競技会をご存じでない方は、
ライブの走行と合わせてご覧になるとより大会の観戦が興味深くなると思います。

1年ほど前にオクラホマの競技会について、
ブログで書いた内容の一部を抜粋してここにコピーしました。
この大会がどれほどのものか、イメージしていただけると幸いです。



オクラホマのオープンクラスのフチュリティーは、予選で2回の走行をしなければならず、
その合計点でファイナルに進出できるかどうかが決まる。
3歳の若い馬にとっても、それに騎乗するトレーナーにとっても過酷で厳しいイベントだ。
(オープンクラス:エントリーはほとんどプロの乗り手でしめられるが、
基本的には誰でも参加可能。 優勝するには最も難易度の高いクラス。)

長くても4日間ほどのローカルの競技会とは異なり、
長期戦になるオクラホマの大会では昼夜の区別がつかなくなる生活が
人馬ともに一番こたえるのではないだろうか。

日中、本馬場は競技に使用されるため、
本馬場での馬の調整はどうしても夜以降になってしまう。

トレーナーによっては、一番馬場がすく真夜中から夜明け前に騎乗するので、
予選を勝ち抜けばなおさら、何日も不規則なスケジュールを強いられる。
そのため、ファイナルでは冗談抜きで目の下にくまが目立つ選手もでてくる。

オクラホマのような大舞台でプロとして活躍する場合、
経験を豊富に積み技術も身についた、まだ体力のある30代後半から40代終わりくらいが
乗り手として脂ののりきった時期に思える。

ある程度の年齢を超えると、たとえ技術は素晴らしくても
長期にわたる試合は、体力と気力を持続させるのが難しくなってくるからだ。

そして、競技会は馬に乗るだけではなく、
社交とビジネスにも神経を使う場所なので、期間中に蓄積する疲労は半端ではない。

競技場でのハードなスケジュールに加え、
オクラホマの舞台は、全米から人馬が集まって繰り広げられる競技会で、
馬の輸送時間が10時間以内でおさまる距離に居る場合はまだしも、
それ以上の長距離を移動しなくてはならない時は、
なおさら馬と人のコンディションをキープするのは大変になる。

以前、ニュージャージーに住んでいたとき、
馬運しながらオクラホマに何回となく移動したことがあるが、
30時間トレーラーを繋いだトラックに揺られるのは、
ただ乗っているだけでも非常に疲れたのを思い出す。

ニュージャージーからオクラホマまでは、アメリカ大陸を半分移動するという、
途方もない距離のため、馬の輸送疲れを癒す手立てとして、
競技会場への入厩数日前にオクラホマ入りして、
知り合いの牧場で馬に一息つかせながら調整するということもあった。

___________________________________________


採点の仕組み


レイニングの競技は、13種類あるパターンの中で指定された1つを各々の人馬が走行します。

クラス分けされた人馬は、決められた1つのパターンを順次に演じ、
その演技をジャッジが審査し点数の優劣によって順位が決まります。

1回にかかる走行時間は、パターンにもよりますが4分から5分くらいです。
トップクラスのライダーがランインパターン(駈歩入場)で演じた場合は、
当然小さな子供達がウォークインパターン(常歩入場)で演じたときより速く終わります。

クラス分けは、
ライダーや馬の獲得賞金総額、
ライダーや馬の年齢、
プロのライダーかノンプロ(アマチュア)のライダーか、
など様々な方法で区別されます。

それぞれのパターンには、7つから8つの採点の対象となるマニューバーがあります。
(パターン12の小さい子供用の経路は6つのマニューバーで構成されている。)
マニューバーについては、11月1日に公開したブログ 
「レイニングのパターンとマニューバー」 を参考になさってください。

採点は70点を持ち点として演技が始まり、
遂行されるパターンの馬の演技が可もなく不可もなく、
平均的であればその走行に対して1人のジャッジから70点が与えられます。
ただし、この点数はペナルティー(次のブログにて説明)が発生していない場合です。

ジャッジは馬の演技をマニューバー事に区切って採点し、
そのマニューバーの動きに正確さや冴えがない場合は、
程度により、1/2ポイント、1ポイント、1 1/2ポイントという単位で減点します。

また、採点しているマニューバーが優れたもので完成度が高いと、
1/2ポイント、1ポイント、1 1/2ポイントというように減点と同じ単位で加点されます。

参加するクラスの大きさによってジャッジの人数は異なり、
小さいクラスは1人のジャッジで審査され、
もっとも大きなクラスでは5人のジャッジが審査します。

5人のジャッジによって採点されたときは、
最高点と最低点を除いた3つの合計点が活かされます。
(オクラホマのフチュリティーのクラスは5人のジャッジによって審査されます。)

例えば平均的演技でペナルティーが発生してない走行の場合、
1人のジャッジが採点したクラスだと70点、2人のジャッジの時は140点、
5人のジャッジの場合は210点の得点がもらえるわけです。

(今回オープンクラスのフチュリティーにエントリーしているノースカロライナの選手たち。果たして・・・)

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DSC01797.JPG


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2014/11/27 21:53:57 | リンク用URL

Nov

01

2014

レイニングのパターンとマニューバー

レイニングの大会では決められたパターン(経路)を一組の人馬が馬場の中で演じ、
その動きの良し悪しを審査員によって採点されます。

このパターンは、
AQHA (American Quarter Horse Association) では12通り、
そしてNRHA (National Reining Horse Association) では13通りあります。

AQHAは以前のブログ、
「レイニングの競技とクォーターホース」でわずかですが紹介してあります。
NRHAも簡単な紹介となりますが、
1966年に非営利団体として設立された協会で、
その目的は、レイニングを競技として推進していくことです。

以前は、この二つの協会が開催するレイニングの競技会は、
ルールその他で異なる点があったようですが、
現在は採点方法や競技にまつわるルールなど統一されたものになりました。

ただ、パターンに関しては2014年11月現在、
パターン1からパターン10までは両協会とも走行の仕方は同じですが、
パターン11と12には上記の2つの協会では相違点があります。
また、パターン13に関してはNRHA独自のものです。

このブログでは、NRHAのハンドブックに記載されていることを基本に
レイニング競技の説明を続けていきます。

レイニングは許可されたクラス以外は、
馬を操る手綱の操作を片手で行いながらパターンを走行しなくてはなりません。

パターンの中にある動きで採点対象になるものをマニューバー(maneuver)と言います。
競技中、馬は各マニューバーを駈歩でつないでいき、
規定に沿ってパターンを演じなくてはなりません。

採点項目の対象になるマニューバーは、
・サークル(大小サイズとスピードの異なる円を描く)
・スピン(後駆を軸にクルクルと回る)
・スライディングストップ(後肢ですべりながら停止する)
・(パターンによっては)フィギアエイト(8字乗り)があります。

それぞれのパターンは、6つから8つのマニューバーで構成されています。

サークルは、大きくスピードに乗りながら描くもの2回と、
小さくゆっくりと描くもの1回の、合計3回の円を1セットとして左右行います。
そして、進行方向を変える時は、サークルの接点で1回ずつ、
左右合計2回のリードチェンジ(踏歩変換)が含まれます。
(例外パターン12と13)

スピンは4回転を1セットとして左回りと右回りがあります。
また、ランイン(馬場へ駈歩入場)のパターンの場合は、
左スピンのみ4¼回転をします。
(例外パターン12と13)

スライディングストップは最低3回行い(パターンによっては4回)、
ランダウン(ストップ前の直線のアプローチ)の後にスライディングストップをします。

それぞれのスライディングストップの後にロールバック
(後駆を軸にして180度反転)の2セットと、
バックアップ(後退)の1セットで構成されています。
4回のスライディングストップがあるパターンでは、
そのうちの1回のスライディングストップでは、
その後に続くロールバックやバックアップは含まれません。
(例外パターン12と13)

レイニングの競技会では、
上記したマニューバーと呼ばれる馬の動きの出来具合をジャッジが審査します。
13通りのパターンにそれぞれのマニューバーの組み合わせがあり、
出場する人馬は、各マニューバーをいかに美しく正確に演じられるかを競うわけです。

以前のブログでも何回かご紹介している動画になりますが、
言葉によるレイニングの説明には限界があり、文章からイメージが湧かない方は、
次のYoutubeの動画をぜひご覧いただければと思います。

日本人がアメリカの競技会に出場した時の動画です。
この二つの動画からは、異なったパターンの走行の様子と、
クラス分けにより手綱の操作の違いが分かります。

最初の動画は、2011Carolina Fall Classicで、
橋口美紀さんとChromed Casanova がグリーンレイナーのクラスに出場した時のものです。
このクラスは、両手で手綱を操作することが許されています。
初めてのアメリカでの参戦で、とても度胸のある素晴らしい演技で2位になりました。

scan0004 (1).jpg


(Chromed Casanova 騎乗の橋口さん。美しいスライディングストップのフォームです。)


走行したのはパターン2で、ウォークインパターンです。
馬場の中央まで歩いていき、演技の開始を示します。
なお、ウォークインパターンでは、馬場への入場は速歩でも許可されていますが、
演技開始前に常歩にするか停止する必要があります。

http://youtu.be/4BqD_wM7kAQ


2つ目の動画は、藤本みどりと Gunners Moll によるもので、
リミテッドオープンのクラスで優勝したものです。
走行したのはパターン9で、ランイン(走って馬場に入場)するパターンです。
このクラスでは、手綱操作は片手でしか行えません。

もう10年ほど前に行われたフロリダの競技会での動画です。
鮮明ではありませんが、このクラスでは20以上のエントリーがあるなか、
体格の良いアメリカ人男性を相手に紅一点で出場、勝利した思い出深い走行でした。

Gunners Moll & Midori

この時の競技会のアナウンサーはオクラホマのフチュリティーで、
長年に渡り耳に心地の良い独特の口調と魅力的な低音でアナウンスを務め、
馬のオークションでは見事な語りを披露した故キース・ブラッドリー(2012年逝去)。

そしてウィニングピクチャーに一緒に写ってくれた故ビル・ホーン、
(2011年逝去、1995年にミリオンエアーライダーとしてNRHA の Hall of Fame に初めて殿堂入りしたライダー)も今は亡き人で、忘れることのできない競技会となってしまいました。

スキャン0001.jpg


(ビル・ホーン、右から2番目)












2014/11/01 8:52:52 | リンク用URL

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