アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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みどりのThat’s録・馬に魅せられて (馬旅2019年 創刊号01) みどりのThat’s録・馬に魅せられて (馬旅2019年 創刊号01) みどりのThat's 録 (ウィリー)
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Oct

09

2011

ゴン太のはなしJ 犬的ネコ?

ある日、友人の家のパーティーに招かれて遊びに行った時のこと。
ゴン太と出会ってすっかり猫が好きになった私は
その家の飼い猫にも興味を引かれた。

パーティーもたけなわを過ぎほとんどの人が帰ったあとで
その時を待っていたように友人の猫が部屋に入ってきた。
沢山の人が集いでいるところは苦手なようで、静かになるまで待っていたようだ。

椅子に座っているネコに近づいてみる。
声をかけて触っても大人しくしていてくれたが
その目はじっと私を見つめるだけで無表情だった。

友人のネコは以前から私が知っている猫そのものだった。
そう・・・、猫らしいネコ。

帰り道を運転しながらあらためてゴン太は
私の猫に対しての観念をすっかり変えてくれたネコだということに気がついた。

人が牧場に訪れるとゴン太は必ず挨拶をしにくる。
・・・というか、誰なのかなんなのか確認しないと気が済まないような感じなのだ。
人見知りはせず、初めての人にも体をすり寄せかなりの社交性を見せる。

名前を呼ばれると毎回 律儀に 「ニャーッ」 と返事をし
触られれば必ず大きな音でゴロゴロと喉をならす。

数人がかたまって話をしている時は、
人の足下を行ったり来たりして呆れるほどの自己アピールぶりなのだ。
自分の事を話題にして欲しいような感じでどんどんと自分の存在をアピールしてくる。

私は、 「節操のないネコだ。」 と悪い冗談を言ったものだが
まったくゴン太は、極端に人なつこい犬のような猫なのである。

馬房掃除をしていれば、馬房を移動する度について回り
オガをふるフォークの位置をウロウロするので、
掃除のじゃまになり何度も追い払われるはめになる。
挙げ句の果てに、居場所がないので一輪車の下に座っていたりする。

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バーンの中を急ぎ足で歩いていると
「グルル〜ニャー!」と言いながら後ろから駈け足で追いかけてきて目の前で止まる。
そして次の瞬間、地面に身を投げ出し、その反動で小さく 「ゥッ!」 とうめいて
ゴロリと横になってお腹を見せるのである。

こっちは不意をうたれ、ゴン太を避けるために転びそうになることも度々あった。
だが、その様子があまりにも必死なので思わず笑ってしまう。

馬房のバケツにホースで水を入れている時は
水が溜まるまで人はしばらくじっとしているので
ゴン太が寄りつくにはかっこうのチャンスなのだが
次のバケツに移動するさい、ゴン太に気づかず足やシッポを踏んでしまうことがある。

「ギャッ!!」 という悲鳴とともに走り去るゴン太に
「ごめんねぇ〜、ゴン太。 だけどあんたが悪い。」 と謝るがあとの祭り。
しばらくはどこかに消えている。

人間の足下は危険だということをいい加減覚えてくれればいいものを
それが何回痛い目にあっても懲りない。

ゴン太のくっつき虫症候群はかなりしつこいものがあり
なぜかトイレに入ると出てくるまでドアの外で待ってたりすることもよくあった。
むかし飼っていた犬が同じ行動をしていたのとそっくりそのままで、
ドアマットの所にちょこんと座って待っている。

バーンの中央にはまとめて4つのドアがあり
休憩室、トイレ、タックルーム、工具を置いてある部屋となっている。
それが不思議とゴン太が待つのは、トイレのドアの前だけなのだ。

休憩室の場合は、部屋から出るとドアマットに
ネズミや鳥の雛の死骸が置いてあったりすることがあった。
それに気づく瞬間はギョッとするが、片づける時に思わず苦笑が出てしまう。
これはゴン太流のプレゼントの仕方だったのだろう。

カメラを向ければシャッターを押す時にはすぐ目の前に来てしまい
しょっちゅう写真を取り損ねる。

「ゴン太よ、いい加減にしつこくするのはやめてくれ〜!」 
と叫びたくなる時もあった。

なんせ人が好きで、馬が好きで、怖かったイヌのハナとも仲良くなり
呆れるほどにフレンドリーで陽気な犬的ネコに惹かれないでいられるはずがない。

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(ゴン太は子馬にはひときわ興味があったようだ)

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(ハナと一緒にいるところは当たり前の光景になった)



もしゴン太が従来知っている猫のような性格、性質であったなら
飼うことを決心した時に餌は与えたかも知れないが、
馬小屋に住むただの一匹の猫に終わったのかもしれない。

それがあの小さな体で
私にはものすごく大きな存在になろうとはあの時は想像もつかなかった・・・。

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(ゴン太のお気に入りの場所、トラクターの運転席)








2011/10/09 9:50:31 | リンク用URL

Sep

26

2011

ゴン太のはなしI ゴン太と仔馬

2011年の冬はかなりの冷え込みを記録した。
数日間地面に残っているほどの大雪も降り、
ノースカロライナに引っ越して8年目で、初めて道を作るために雪かきをした。

そんな厳しい寒さの冬だったが、
ハナとゴン太がプレゼントしてくれるホットな場面は心を暖かくしてくれる。

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ゴン太に出会った当初、猫に全然興味なく馬房に居座り続ける子猫をどうしたものかと
途方にくれた日々が嘘のように私は猫に惹かれていった。

毎年、カレンダーを3つ家の中に置くことにしていて、
1枚は馬のカレンダー、後の2枚は風景や絵画と決めているのを
2011年には馬の代わりに犬と猫が写っているものを買ってしまい、
自分でも呆れたのを覚えている。

さて・・・、
いつものことながら、時の移り変わりは早く、
ゴン太が苦手な冬が終わり季節は草花が芽吹く春を迎えていた。
小鳥たちのさえずりがひときわ大きくなり、虫たちもどこからか沢山湧いて出てくる。

春は馬の出産がひかえているので、予定日が近くなると人はそわそわと落ち着かなくなる。

今年は、初産の牝馬(バレンタイン)がいたのでなおさらで、私は神経をとがらせていた。
お産の兆候が出てくると、あれやこれやと頭の中は忙しくなる。

兆候と言ってもこれは牝馬によって個体差があり、
必ずしも教科書に出ているようにはいかない。
むしろ教科書を信じていると面食らってしまうこともある。

・・・が、やはり多少は参考にして、
毎日出産間近の牝馬のおっぱいから母乳がにじみ出てくるタイミングをチェックし、
お腹の下がり具合や陰部のゆるみなども確認する。

そして、予定日から逆算して与える餌を調節し、
放牧地からお産用の馬房に移動。
そこでの飼育に慣れさせ、夜中に様子を見に行くことも始める。

万が一 出産がスムースに行かない事態に備え、
獣医さんに夜中でも往診してくれるかの打診をしておき、
子馬が生まれた後に使う薬品やタオルなどをそろえておく。

そして来る出産の日。
やはりというのも変だが、バレンタインの出産も教科書のようにはいかなかった。

本にはほとんどの出産は、夜の10時過ぎから明け方の4時頃までにあると書いてあるのに、
バレンタインは朝の飼い付けを完食し、馬房から放牧したときに産気づいた。
時間にして、朝の9時過ぎ・・・午前中は1日の内でバタバタする時間帯である。

牝馬は夜中に出産をして、子馬は朝日が昇る頃にはすでに立ち上がり
危険が迫ったときは母親と一緒に走れる状態になっている・・・。
テレビか本で見たような、そんな動物の習性に感心するような状況とはほど遠い、
太陽が燦々としていて騒がしい中での出産だった。

「お尻から風船のようなものが出ていますっ!!」
という、慌てた研修生の報告で始まり、
子馬が出てくるまで時間がかかった。

前足がやっと見えてきたと同時に、
牝馬のいきみに合わせて彩ちゃんと一緒に仔馬の足を引っ張って
出産を介助しなくてはならなかったが、なんとか無事に大きくて元気な雄馬が誕生した。

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その騒動の一部始終をソワソワと見届けたのはゴン太だった。

初産の牝馬が神経質になるといけないので、追い払おうとしたが
馬房の中で起こっている事がただならぬ事態なのでゴン太は興味津々。
いくら追ってもそこに留まる決心の強さに呆れてしまった。

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そして、スヤスヤと寝ている子馬にはもっと興味を示し、
そっと近づくゴン太の様子が微笑ましい。

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2011/09/26 4:23:32 | リンク用URL

Sep

18

2011

ゴン太のはなしH 奇跡

季節は巡り、青々としていた牧草や木々は秋色に染まり始め、
速度をますように限りなく茶色になっていった。

その頃には、ハナとゴン太の関係はさらに近くなり
すっかりお互いを仲間と認め合っているように見えた。

ハナが馬小屋をしばらく留守にして戻ってくると、
なにやら2匹、鼻をつき合わせて挨拶する光景を見かけることも多々あり、
帰って来るなりハナのほうから、ゴン太を捜すような素振りをすることもあった。

ゴン太は絶えず馬小屋にいるので、研修生やお客さんに可愛がられて、
そのせいか かなりの社交家となり、人に体をすり寄せ甘えて注目を一身に集める。

ゴン太の発見者、ココちゃんは1年の研修期間を終えて日本に帰国。
競走馬の牧場で働いた経験のある彩ちゃんが1年間の研修で滞在していた。

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彩ちゃんと私の会話には、馬のほかに毎日のようにゴン太のことが登場していた。

研修生には自由に使えるデジカメを渡してある。
彩ちゃんは、写真を撮るのが好きだったようで、
ゴン太のブログで使用している写真のほとんどは、彼女の撮影によるものである。

私はゴン太シリーズを書く予定はなかったので、
今となってはその写真が役に立ち大変助かっている。

自分が写真を撮るときは、必ず何か目的があってのことでいつも急いで撮影をする。
気持ちに余裕がなく、目的意識が強すぎて撮った写真のできは良くない。

それに比べると研修生たちの写真は、生き生きしたものが多い。
そこから驚きや感動、楽しさなどの気持ちが伝わってくる。

時は去年(2010年)、ハローウィンも過ぎ、冬がもうすぐそこという頃だった。
彩ちゃんと、馬小屋の作業をしながらまたゴン太の話になる。

「だいぶ寒くなってきたねぇ。 犬は寒さに強いけど、猫って、
♪ネ〜コはこたつで丸くなる〜♪、でしょう。寒さに弱いんだよね。 
夜なんかどうするかなぁ・・・。」

という私の独り言ともいえる疑問に彩ちゃんが、
「ハナとくっついて寝るかもしれませんよ。」

「ないないなぁ〜い! それは絶対にありえないよ。」
と私は彩ちゃんの予想を否定する。

そんなこと絶対に想像できなかった。
ゴン太はそうしたいかも知れないけど、ハナは寒さはへっちゃら。
そこまでゴン太の接近を許すかどうかは、疑問だった。

今思うとなんでそんな話しが2回も出たのか分からないが、
ハナとゴン太の添い寝の可能性を肯定する彩ちゃんに、
私は同じように真っ向から2回とも否定していた。

月は変わり、放牧地の桶の水が凍るほどに気温が下がってきたときのことだった。

「みどりさん、見て下さいよ〜。」
彩ちゃんからデジカメを差し出され、のぞいてみる。

すごい! すごいっ!!
そこに写っている光景が信じられなかった。
私がいままで抱いていた、犬と猫の観念を徹底的に打ちのめしたものがそこにはあった。

大げさに聞こえるかも知れない。
だけど、ハナとゴン太の関係を最初から見てきたわけである。
お互い子犬と子猫として初めから一緒に飼っていたのなら納得もできる。
だが、この2匹を仲良くさせようとさんざん苦労したので、
目の前のものは奇跡として写った。

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2011/09/18 21:48:54 | リンク用URL

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