![アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ](../img/head.gif)
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2014
水漏れは建物内ではないと分かったので、少し安堵はしたものの、
問題の場所は公共水と井戸水を運ぶ管の接続部分の可能性が大で、
これは修理するのにやっかいな場所だった。
長靴に履き替え、シャベルを片手にどうしたものかと考え、
いずれにしろ水がしばらく使えなくなるので、
バーンにある全てのバケツと、放牧地の桶を水で目一杯満タンにした。
(寒い時期でよかった・・・)と思った。
夏場ではとても無理だが、これで2日は馬の水が確保できるはずだ。
井戸水の流れを開閉する大本のコックが母屋にあるので、
それを閉めにいき、また馬小屋の方へ向かった。
歩くには長い距離を往復して、水道管の状態を知るための作業にとりかかった。
沼地となった地面に広がる水の量は思った以上に多く、
最初にそれを掻き出さなければ穴が掘れない状態だった。
道路にそってditch と呼ばれる溝が走っているので、
そこに水が流れていくようにシャベルで道を造り、
流れずに残った水は、小さなバケツとシャベルですくい出した。
やっと地面が見え、次は穴掘りだ。
コックの上は空洞にしていたものの、年月とともに木箱は朽ちて、
そこを馬が歩いたため埋まってしまっていた。
そのため、まず水道管のある場所を探す必要があった。
シャベルが水道管にあたって割れないよう、
手に伝わる感触に注意を向けながら穴掘りをすすめた。
(地中の水道管のようす。ブログとは関係ない場所。)
しばらくして、「コツッ」と触れる物がありその周りをゆっくりと掘っていくと、
目指す白い管が見えてきた。
(これってドラマで見る外科手術に似てる・・・)なんて思った。
手術中に開腹した部分が、大きな血管に傷がついたため血の海となり、
執刀医がその血液の吸入を助手に指示する。
そして、あわやというところで傷ついた箇所が見つかり、
縫合するというシーンが思い出された。
あぁ、だけど私には助手がいない・・・。
それに、水道管の場合はそれだけではすまない。
例え傷のついている部分を確定できても、
修理をするとき、管をかなりの長さでむき出しにして、
さらに管の下の土も取り出さなくてはならなかった。
大変な事になった・・・、と思ったがとにかくやるしかない。
掘り進めながら、ジャケットを脱ぎ、また少しして、その下のトレーナーも脱ぐ。
それでも背中に汗をかいてきた。
道路に近い所で穴掘りをしているので、
頻繁に通り過ぎる車の何台かはスピードを緩めて、
何事かとチェックをしているのを感じた。
牧場建設の工事を始めたとき、
この地域の人達はとても物見高いことに気がついた。
田舎という土地柄のせいもあるのか、どうも近所の様子が気になるみたいだった。
工事中、頻繁に敷地内に車で乗り込んでくる見知らぬ人に、
どう対応していいのか悩んだことも数知れず。
そんな人達には、
「今度ここへ引っ越すことになったXXXです。 よろしくお願いします。」
と挨拶をすればいいわけだが、私にはそれを躊躇する理由があった。
それは 「何も知らないよそ者が一人で牧場を建てている、しかもそれは女。」
ということをなるべく誰にも気づかれたくなかったからだ。
頼りなげで、その状況につけ込まれるのも嫌だし、噂されるのも嫌だった。
できる事なら、
日本で一人住まいの女性がアパートの物干しに男性物の下着を干して、一人住まいでない風をよそおう、
そんなカモフラージュをしたいくらいだった。
今考えれば、当時は気がつかなかった自分の中の
「心細さ」や「自信のなさ」 がそういう感情を湧かせたのだと思う。
色々思い出しながら、穴掘りを始めて30分も経った頃、いい加減疲れが出て来た。
悪いことに、水漏れをした場所には2つのコックが埋まっていて、それらは離れている。
その両方をむき出しにする必要があり、
コック同士を繋いでいる水道管も全て泥を取り除かなくてはならなかった。
やっとのことで、コック2つと水道管を見える状態にしたものの、
肉眼では壊れている部分は見あたらなかった。
そのため、今度は水を通してその場所を確定するのに、
また母屋まで行って大本のコックを開かなくてはならない。
修理のための部品の買い置きはないので、ホームセンターまで行く必要もある。
それらに費やす時間と労働と、まだ終わってない日常の作業を考えたら途方にくれてしまった。
ため息をつきながら遠くを見たとき、ふっと自分の有様に気がつき思わず苦笑した。
いつでも何かあると躍起になって物事を進める、そんな以前の私がそこに居た。
猫のゴン太を通して啓示を受けた事をまた忘れてしまっていたのだ。
「柔らかく、しなやかに生きて行きなさい。」
そう教わったじゃないか・・・。
私は、気持ちを切り替えてジミーおじさんに電話をすることにした。
http://www.greenway-ranch.com/blog/?id=253
(ゴン太のはなし、独立記念日)
2014/01/25 8:49:40 | リンク用URL
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