![アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ](../img/head.gif)
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2011

2006年に私は大きな夢を抱きながらグリーンウエイランチを起ち上げた。
それからというもの、自分が理想とする牧場を心に描きながら無我夢中で
毎日の仕事をこなしてきたが、それに反してたいした達成感は得られないでいた。
今年(2011年)の春で5年目、
時間は超特急が駅を通過するがごとく過ぎてゆき、
私はプラットホームに立って、通過する列車の轟音と風圧を身に受けながら
それに乗っている人たちを一人ぽつんと見送っていたような感じだ。
最初の数年は馬の管理や、牧場運営の方法など暗中模索のような状態で、
次から次へと生じてくる用事をこなすのがやっとで、
これからのことを考える余裕は皆無だった。
好きで始めたことだから楽しんではいたつもりだが、
ひょっと気づく自分の顔の表情は険しく唖然とする事もあった。
ずぼらなくせに、必要ないところで神経質、心配性、
尚かつ完璧主義的な性格が裏目に出てしまったような気がする。
猛烈な勢いで自分自身を追い込んで、神経の糸はピンと張り詰め今にも切れそうだった。
牧場をオープンするまでは苦労しているつもりでも、
人や状況に寄りかかりながらぬるま湯に浸った状態で生きてきた自分がいた。
それが大したプランもなく女1人で牧場を持ち、
あらためて始めてしまった事への重大さに気がつくというお粗末さ。
自分の肩に何頭もの馬たちの健康や幸福感を背負っていると思うと、
その責任に押しつぶされそうな気持ちにもなった。
このような時間の経過は心から柔軟性をうばい、情緒的な暖かかさは薄れ、
精神面はカサカサとささくれだっていった。
生き物と関わり合う仕事と自覚し、自分では精一杯やっているつもりでも、
今を思えば動物に対して心から愛情を持って接していなかった気がする。
日々の作業の餌や水やり、掃除、運動、怪我や病気の手当・・・、
次から次へと休む間もなくこなしてはいたが、
それはしごく事務的でただ行うという流れ作業だけで終わらせていたようでもあった。
今だから分かるが、以前の私は牧場の仕事に、
そしてなにより自分を相手に戦っていたのだ。
自分自身を大事にできないから、他にも愛情をかけることができない。
人は人生の中で巡り合う人物によって価値観などが変わり、
そして人生そのものも変化するという経験をすることがある。
私は頑固で人の意見に対してはオープンだが、
それによって価値観まで変わるほどの柔軟性は持ち合わせていない。
言ってみれば可愛くない性格なのである。
そんな性格でも方向性が間違っていると、ありがたいことに神様は救ってくれる時がある。
身を粉にして努力しても手応えはあまりなく、
今のままで牧場を運営していくことに疑問を感じ始めていた矢先だった。
自分にとって最大と言っても過言でない人生の節目に、
良い方向へ行けるよう、私には小さな存在がもたらされた。
それが、ゴン太なのである。
上手くは説明できない。
言葉ではどう表現していいか分からないし、
感性で受け止めているだけなので証明することもできない。
ただ、分かっているのはゴン太が目の前にあらわれ、
数々のエピソードを通して私に啓示してくれたことは、
今後の自分を大きく変えるのだろうと、直感的に思うのである。
腕に抱いた時のゴン太の体の柔軟性や、毛並みのソフトな感じは触れる私の手を通して
「もっと柔らかく、しなやかに生きていきなさい。」
と語っているようだった。
ゴン太が一生懸命といってよいほどに人や馬、ハナに接している様子は、
相手に対して気持ちを込め、真摯であるべきと教えてくれているような気がした。
牧場にいる馬たちやハナはふっと心を和ませてくれる時もあるが、
ハナはどちらかというと犬にしてはゴン太と逆のネコ的性格で、
とても気ままなところがある。
馬たちは愛おしく大切だが、ペットに接するのとは感覚が違い、
「毎日世話をしなくてはならない義務的存在」
として時に足かせのように感じる時もあった。
その様な日常で、ふと気がついたときにゴン太が身を寄せていて、
そのゴン太に言葉をかけることで私の固くなった精神は自然と和んだのである。
ゴン太を触っていると、
「いいや・・・、考えすぎず、焦らずゆっくりとやろう。 物事うまく行ってるよ。」
と自分自身に言ってる自分がいる。
なぜかは分からないが、ゴン太は妙な安心感を私にくれた。
今日、再びこうしてゴン太について話をしたくなるのは、
ゴン太との出会いが私の感性を揺るがし、
今までの生きることへの姿勢までも変えてしまうような出来事だったからである。
ゴン太のことを、
そして出会いによって私の中に生まれた新たなる感覚を、
忘れることがないよう回顧したかったのだと思う。
ゴン太は7月4日の独立記念日に私の前からいなくなった。
私にとても大きくかけがえのないプレゼントを残して・・・。



2011/10/16 22:09:18 | リンク用URL
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