アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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Jul

01

2009

いつになっても・・・(井岡 心)

前回ブログに書いた問題の妊娠中のお馬さん、出産予定日から2ヶ月も過ぎてしまいました。
1ヶ月半遅れて無事に産まれたという話は最近みどりさんも聞いたことがあるそうです、さすがに2ヶ月は異常です。
お母さんは飛び回っていて元気なのですが、赤ちゃんに異常があるのかもしれないと、心配になったみどりさんが獣医さんを呼びました。

獣医さんが来る前日。
いつものように産室に彼女を入れて、2人でチェック。
「やっぱりお腹大きいよね〜」
「下の方にふくらんでますよね」
「アクティブな子だから、ただたんに太ってきてるだけなんてことないと思うんだけど・・・」
「赤ちゃんがまだ準備できてないのかな?」
「でも、2ヶ月は長すぎるよ−」
なんて、心配しながら話していました。

そして、運命の朝・・・
やってきたのはベテランのおじいさん獣医。
みどりさんが今の状況を説明すると、
「今まで何度も出産を見てきたけど、2ヶ月間母体も赤ちゃんもトラブルなしにいられるなんてありえない」
「予定日から30日過ぎるのはよくあるが、60日はおかしい」とコメント。

さっそく検査開始。
まずは触診をするので、馬に鎮静剤を打ったのですがなかなか効かず結局3本も打ちました。
馬はぐったり状態。
獣医さんは慣れた手つきで肛門に手を突っ込みもぞもぞと触診。
と、5秒も経たないうちに「この子妊娠してないよ(=w=)/・・・、子宮はnice&clean、
少なくとも6ヶ月は空の状態だよ。」

「えー!?早っ!!!」
「しかも入ってないの(>A<;)!」
なんとなくその可能性も考えていたので、結果に対してはすごい驚きはしませんでした。
でも、獣医さんの早くあっさりとした診断結果に唖然・・・笑

みどりさんと獣医さんが話をしている間、今まで一番遠い放牧場から毎晩、毎晩、産室に彼女を連れて来ていたのはなんだったのだろうとちょっとショックを受けていました。
いつ産まれるのだろうと楽しみに頑張って見回りしたり、母体をチェックしたり・・・なのにこのオチ!!!!???
なんだよ、もう〜(/w\)
そんなことを一人でもんもんと考えていました。

するとどこからかいびきが・・・
音をたどると誤妊娠の発覚した彼女が馬房のコーナーに頭をつけて爆睡していました。
まぁ、3本も鎮静剤を打たれたので仕方ないのですがそれにしてもすごいいびきなんです。
人間でも大きな音でゴーゴーとずっといびきをかき続ける人いますよね?
あれと全く同じいびきをかいているんです(・O・)
馬でもこんな風ないびきをかくんだとびっくりしました。
寝てるポーズもおかしくって笑えるし(写真がないのが悔しいです)、あきれちゃうほどのいびきだし。
転んでもただじゃ起きない馬だなと思いました。笑

ということで、赤ちゃんははいっておらずいつになっても出てくるわけがないのです。
お騒がせいたしました(ーxー;)
想像妊娠という言葉がありますが、それは子馬誕生を楽しみにしていた人間の方だったようです。

勘違いしていた言い訳をちょっと、・・・
まずはどんどんお腹が大きくなってきたこと、それは産室に入れられ他の馬に遠慮することなく、一人で充分な食事を食べることができたためで、ただ単に太っただけ!
つぎにおっぱいが出てきたこと、それはチェックのしすぎ。 (獣医さんにもう搾るなと言われました)
あと、予定日が大幅に遅れたのにまだ妊娠していると信じたこと、・・・それは、今年は他の繁殖牧場でも出産が大幅に遅れていたためでした。 
以上の理由により私たちは妊娠を信じ続けていたのです。

そして勘違いされていた彼女はといえば、・・・
太ったために動くのがめんどくさいのか以前のようなアクティブさが消え、彼女の走っている姿は今じゃなかなか見れなくなってしまいました。
やっぱりどう見ても妊婦さん?

ココちゃん、仔馬、バレンタイン.jpg


お騒がせしました!

2009/07/01 4:21:02 | リンク用URL

Jun

17

2009

いつになったら・・・(井岡 心)

しばらく前、GREENWAY RANCHは出産ラッシュでした。
4月には仔馬が生まれ、5月に入ってからはあちこちで鳥のヒナがかえってお母さんたちは忙しそうにしていました。

100_1100.jpg


100_1133.jpg

100_1167.jpg



しかしそれに乗り遅れている馬が一頭。
彼女の当初の出産予定日は4月の23日。
そして今は6月の中旬・・・1ヶ月半近く遅れてる(・O・)!!
たまに一ヶ月くらい出産予定日を過ぎて産む馬もいるらしいのですが・・・

出産予定日が近づいてからは毎晩産室に入れてご飯をあげて、1,2時間置きに交代で見回りをしていました。
ところが1週間過ぎても2週間過ぎても産まれる気配がなし。
一時かなり落ち着きがなくなり、このまま陣痛が始まるんじゃないかな?と思いましたが、しばらくして落ち着きを取り戻しました。

彼女は今回が初めての出産。
初産の馬は一般的な出産間近の兆候(おっぱいが張ってくる、産道がゆるんでくる)がなく、突然生まれるということがあるらしいです。
みどりさんと私で夜中まで見回りを続けていました。
でもさすがに普段の作業に加えての見回りはきつく、私たち二人は少し疲れ気味(・T・;)
仔馬が生まれるより先に音を上げてしまいました。

まだ産まれそうにないから少し警戒態勢を弱めよう、と言うことに。

それから数日後、みどりさんがシカゴまで馬を輸送することになり、2日間私がお留守番することになりました。
この間に仔馬が生まれたらどうしよう。もし産まれて、何かトラブルがあったらどうしよう(>へ<)という不安で緊張していました。
が、そんな心配をする必要もなく彼女は平然とこの2日間を過ごしていらっしゃいました(=w=)笑

最近は、少しづつおっぱいが張ってきてお腹も多少ですがまた大きくなったような気がしました。
お乳も透明ですが勢いよく出るようになりました。

おっ!これはやっと出産が近いかな!?と期待していたら、この2.3日お乳の出方が少し前の状態に戻ってきてる・・・
なんだか少し前進してはまた後退している感じ。
もうなんなのぉ〜\(>x<)/と焦らされている気分です。笑

朝の飼い付けの時には放牧場に戻るのですが、戻ったとたんごろんごろんと転がったり、走り回ったり(しかも猛ダッシュ)・・・
あなた妊婦でしょ。そんなにアクティブに動いてあなたのお腹の子は大丈夫?と心配しています。

そして、今朝。
ものすごい雨の中、馬房に行くとやたらといなないている。
見に行くと、馬房でぽっこんぽっこん跳ね回っていました。
どうしたんだろう?お腹に違和感が出てきたのかな??と若干期待を込めて様子を見ていました。
すると雨がやんだとたん彼女の動きも止まりました。そして、雨が強くなるとまた鳴き始める。
この繰り返し。
ただたんに、馬房の屋根に当たる雨の音がうるさくてヒステリックになってるだけでした。泣

本当にもうよくわからん馬だ・・・。
本人も大きなお腹で大変だろうに、いつになったら産む気なんでしょうか??

仔馬ちゃん、あなたのお母さんはあんまりあなたがお腹にいることを気にしていないような気がします。
お母さんにプレッシャーをかけて、なるべく早く出てきてください(_H_)
と願っている日々です。

DSC00146.jpg





2009/06/17 1:05:26 | リンク用URL

Sep

11

2008

馬の大敵

ノースカロライナは、慣れ親しんだ日本の関東と気候がよく似ている。
春には春1番のような風が吹くし、夏は蒸し暑く時折夕立がある。
秋には台風ならぬハリケーンが上陸する事もあり、冬には霜が降りたりで、雪もたまに降るが地面に長くは残らない。
そんな気象状況だからだろうか、ここにも馬たちの大敵がいたのである。

それは、まとまった雨が降った暑い日にわいて出てくる。
奴らはどこからともなく、空気を振動させながら、ものすごい羽音を「ブォ〜〜〜ン」とたてて飛来する。
それが来ると放牧中の馬たちは、耳を伏せ首を上下し、尻尾をバサッバサッと振り回して不快感を表す。
その正体とは、思いっきり大きなハエを、さらに10倍くらいにしたサイズの昆虫、アブである。
よく見るとすごい口をしていて、そのとがった口で人より厚い馬の皮膚をブスッと刺し吸血する。
1度刺されたことがあるが、思わず「イタ〜ッ!」と声に出すほどの強烈な痛みで、そのあと数時間はヒリヒリとしていた。
そんなだから馬たちもたまったもんではない。

アブに襲撃された馬は、何とか体に着地されないよう、首を思いっきり振り回して口で追ったり、尻尾を上下左右に激しく振って叩こうとする。
だが、敵も然る者、短い生存期間の中でいつ学習するのかわからないが、馬の死角を知っているのである。
それは、ちょうど尻尾の付け根から背中の方に向かったお尻の部分で、そこに運悪く着地された馬は、口や尻尾で追い払うことができなくなる。
まさに人間で言えば、手も足も出ない状態である。


放牧地でなにやら騒がしい時は、誰かがアブの犠牲になっているので作業の手を休めて救済に向かう。
「ほらほら、やっつけてやるからこっちおいで!」
と、ゲートへ近づくと、今まで何とかアブを追い払おうと、思いっきり空に向かって後ろ足を蹴り上げ、走り回っていたのが急いでこっちへやってくる。
そして、あの騒ぎはどこへやら、人の前にピタッと止まりじっと我慢の静止状態である。
息を止めてねらいを定め、力を込めて思いっきりアブを叩くと、手のひらが血で真っ赤になるときもある。
ポロッと地面に落ちた瀕死状態のアブを、足で踏んづけとどめをさす。
そうしないと、いつの間にかまた飛び立つほど強いのである。
「やったぁー!」とわたし。 
馬からは、「ふぅ〜〜。」とため息。
大きな体をして、必死の形相で助けを求めてくる馬に、悪いとは思うが思わず笑いが出てきてしまう。
夏の暑いさなかの労働、疲労したときにフッと和む一瞬である。

馬の大敵、アブ-1.jpg

  

馬の大敵、アブ2-1.jpg


馬の大敵、アブ



2008/09/11 3:07:32 | リンク用URL

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