アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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Jul

23

2013

妖怪変化

生まれてからしばらくは、可憐で綺麗な仔馬だったのに、
今はとても見栄えが悪くなってしまった、可哀想なロージー。

DSC01247.jpg


(これは生まれて数日のロージー)

お客様から「仔馬を見せて下さい。」と訪ねられると、
以前は「どうぞ、どうぞ」と得意になって答えていたのに、
今は、「えーっとぉ、ずっと奥の放牧地にいます。」
なんてつれない返事になってしまう。

仔馬は生まれたときの毛色と、後の毛色が違う場合がよくあり、
誕生時の産毛が抜けるまで本当の色は分からないことが多い。
葦毛のように、一生かかって白くなっていく場合もある。

誕生して2ヶ月目のロージーは、変貌の真っ最中で、
産毛があっち抜けこっち抜けでボロボロの状態。
どうやら少し濃い栗毛になりそうだが、今はお世辞にも可愛く見えない。

それとは別に、ロージーは毛色だけでなく、
もう1つ、すごく変な特徴に気がついた。

馬の顔には必ずつむじがあり、
普通、顔の正面の目と目の間少し上から目よりちょっと下あたりにあって、
数や位置で馬の個体差を見分けるのに使われることがある。
人によっては、馬の性格占いにも使う。

ところが、この仔馬あるべき所に1つあるほか、
今まで見たことがないような部分にもあったのだ。

DSC01313.jpg



写真で分かるように、なんと両耳のちょっと下、
中央寄りに左右対称に2つある。

これを発見したとき、
(もしかしたら、大きくなるにつれ、ここから角がでてきたりして・・・。)
なんて思わず想像してしまった、とんでもない位置のつむじなのだ。

綺麗なお姫様と思われていた人が、水に映るその姿は鬼だったぁ!
なんて、どっかで聞いたことがあるような物語を思い出し、
可愛い仔馬だと思っていたら、桶から水を飲むその姿、
水が写したものは夜叉だったぁ!

実はこの仔馬、馬の着ぐるみを着た妖怪かも知れない。
くわばら、くわばら〜。

2013/07/23 0:45:10 | リンク用URL

Jun

08

2013

遅ればせながら、やっと春到来・・・? (その3)

デューリーに種付けするため、何回となくブリーディングファームへ馬運をし、
体力の限界と闘って、やっと宿ってくれた仔馬。
それが目の前で、あっけなく流れてしまった。

あぁ、また同じことを繰り返さなくてはならない・・・、
とショックで弱気になる気持ちを立て直そうとしていたら、
「それじゃぁ、直ぐに排卵が来るはずだから、今日は馬を置いていってね。」
とあっさり言う、ブリーディングマネージャーの言葉に拍子抜けしてしまう。

牝馬は出産すると、通常10日くらいで来年出産する仔馬の種付けができる状態になる。
今までの経験よりうんと早いので意外だったが、馬の妊娠期間は約11ヶ月。
仔馬は気候が緩やかで、青草が豊富になってくる、春に産まれるのが理想的と思うので、
早々に種付けが完了できれば、来年ギリギリで春の出産となる。

デューリーを種付けするのに、
前回しなくてはならなかった沢山の注射や何往復という馬運を今度はしないですんだ。
私は帰路、空の馬運車を運転しながら先ほど起こったことを思い出し、
やれやれと体から力が脱けていくのを感じた。
生き物は、これでもか・・・と、いつも驚かせてくれる。

馬を預けて5日後、
無事種付けを終えたデューリーをブリーディングファームへ引き取りに行った。

帰り際、今度は牝馬の妊娠継続を促すため、15回分の経口用の薬を渡された。
毎日決まった時間に、1日1回ずつ注射器に薬を入れて口に投与するのだが、
これは注射をするより大変だった。

薬は油のようにヌルヌルしていて、
それを扱うときは自分の肌に触れないようにと指示されたため、
ゴム手袋をしながらの作業なのだが、これがよく滑る。

注射器に入れるときも、馬に与えるときも苦労した。
デューリーは、この薬が嫌いで口の中へ注入しようとすると、
パッとそっぽを向いてしまう。

注射の時は温和しくしていたのに、まったく理解に苦しむ。
たかだか2週間の投薬作業だったが、最後の薬を終わらせたときは、
なにか大仕事をやり遂げたような達成感だった。

もう、やることは自分なりに精一杯やった。
後は、野となれ山となれ。
今度は、デューリーが頑張る番である、・・・と思いつつ、
放牧地へ餌をあげに行くときはどこかに流産してしまった仔馬が横たわってないか、
気にならなかったと言ったら嘘になる。

そんな心配を心に抱きながらの11ヶ月近く、
最初の内はほんの少しずつ、最後の方ではどんどんと大きくなっていく
馬のお腹を見ながら正直、喜んだものだ。

DSC01387.jpg


(やっとここまでこぎつけました。臨月に入ったデューリーです。)

大きな最後の山場、
出産予定日まであと2週間となった5月1日から、
私は馬小屋に寝泊まりすることにした。

デューリーは初産なので、
気を付けなくてはならないことがいくつかある。

一昨年、バレンタインが初産だったが、
破水のあとなかなか仔馬が出て来なかった。

馬は横になったまま、必死に息むものの時間がかかりすぎるため、
仔馬の足が見えたときはその足を引っ張って、お産を手伝わなければならなかった。

やっとの事で、母胎から出てきた子馬は仮死状態で、
紫色になった舌をだらりと口から出していた。
体をさすることで直ぐに蘇生をしてくれたが、
少しヒヤッとした出来事だった。

そして、去年は同じく初産の牝馬による育児放棄事件。
その時は、母馬が無事仔馬に乳を与えるのを手助けしなければならなかった。

他にも、母馬が出産を終えて立ち上がるときに、仔馬を踏んでしまうこともあるそうで、
様々な理由から初産には、どうしても人間が立ち会う必要がある。

今年を入れると、3年続けて初産オンパレード。
過去の2回は、ちょっと大変な思いをしたので、
「今度こそスムーズに行くよう、お守り下さい。」
とデューリーの予定日が近づくにつれ、神に祈らずにはいられなかった。





2013/06/08 7:41:21 | リンク用URL

May

29

2013

遅ればせながら、やっと春到来・・・? (その2)

早いもので、馬に乗るようになってから30年以上が経った。
その年月を考えると、もうベテランの域に達してきた?ような気がするが、
妙なことを今更ながら気がついた。

不思議なもので、誰か他の人が管理している乗馬クラブや牧場の馬達への思いと、
自分の牧場で飼育している馬達にもつ気持ちに違うものがある、ということに気がついた。
自分の所にいる馬達のほうがより大事で愛おしい、なんていう単純な感情ではない。

ただひたすら「怖い」という思いが出てきた。
長いこと夢であった自分の牧場を持つということだが、
いざそれが現実となったとき、ふつふつとわき上がる予想もしなかった自分の思いを知らされる。

ここを始めるまえから馬の仕事の大変さは充分わかっていたつもりだし、
苦労を覚悟の上でのビジネススタートだった。 
ところが、晴れて牧場のオーナーとなった暁に感じる自分の心境の変化までは想像できていなかったのだ。

先に書いた「怖い」という感情だが、なにが怖いかというと馬が怪我や病気になることがとにかく怖い。
それは自分の馬、預かり馬に関係なくである。

牧場を始めて7年になり、ようやくその恐怖感もだいぶコントロールする、
あるいは開き直ることによって平常心を保てるようにはなった。
しかし、最初のころはちょっとでも馬の調子が悪いと心配で心配で落ち着かず、
頭の中はその事でいっぱいになってしまうほどだった。

具合の悪いのは馬なのに、自分も馬と一体化してそんな気分になってしまう。

そしてデューリーの件に関しても、その頃はまだ
(そしてこれからも)修行の足りない私はパニック状態になってしまったのである。

今まで他のところでは、
獣医学に興味があったせいもあり馬を治療する場面では積極的に手伝いをしながら見学させてもらった。
血を見るのはまったく平気で、非常に落ち着いていた。

DSC00486.jpg


(獣医さんが馬の顎の怪我を治療する様子。 馬は体が大きいため伝わってくるものもインパクトが強い。)

DSC01328.jpg


(デューリーの検診の様子。)


ところが、「怖い」という感情を持つようになってから、
情けないほど治療の場面ではおどおどしてしまう。

私は目の前で流産の処置を待っているデューリーの首をさすりながら、
獣医さんやブリーディングマネジャーが準備する様子をキョロキョロしながら見守った。

治療の前に簡単な説明をしてくれたが、よく覚えてない。
内容としては、管を2本ほど使い、子宮口を広げながら液を流し込んで胎児を流し出すような感じであった。
私は、処置のあいだ馬の気を紛らわそうとデューリーの顔や首をさすっていたので、
行っている作業は見えないでいた(本心は見たくなかった)。

獣医さんとブリーディングマネジャーは、
「届かない・・・。」 とか 
「外れてしまった・・・。」とか
「私はこっちの方を持っているからXXXして・・・。」
などと声をかけあっていた。
そんなに頻繁に行われる処置でないのが、2人の様子から感じられた。

15分・・・、20分くらいした頃だ、
「アッ、出た!」
と高い声を上げたブリーディングマネジャーが、
かがんでコンクリートの床に落ちた物を拾い上げた。

もう、この時の私の心臓はドキドキの頂点だった。
私の方へ差し出された彼女の手を、一瞬見るのをためらった。
(拾い上げられた物が馬の形をしていたらどうしよう・・・)と、
躊躇したのだ。

ゆっくり、恐る恐る覗いてみると、想像とはまったく違うものがそこにあった。
大きさとしては、ニワトリの卵大。
半透明の膜のなかに形の分かりにくい白いものがある。
見かけとしては、卵を割ったとき黄身についている白いものに似ていた。

「これが仔馬になるはずだったのよ・・・、悲しいわね。」
と、ブリーディングマネジャーは手の平にある膜の中の白いものを指で触りながら言った。

獣医さんは、落胆している私を察したのか、
「胎児の体に異常があったから育たなかったと言うこともあるので、
かえって早く処置ができてよかったかもしれないわよ。」
と慰めてくれた。

2013/05/29 4:32:32 | リンク用URL

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