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06
2017
先日、レイニングの集中レッスンを受けに日本からゲスト(A氏)が見えた。
A氏の乗馬年数は長くないが、技術を学ぼうとする情熱は今までプロをも含めて
見たことがないほど熱いものがあり、グリーンウェイランチに来場されるごとに
乗り方が進歩している様子はいつも驚かされる。
指導する側もA氏の意気込みと上達した姿から
前回より上のレベルに合わせたレッスンができるので、
A氏を迎える時はとても楽しみな数日間となる。
グリーンウェイランチを訪れると、
A氏は1分の時間をも惜しむかのように馬上で過ごされる。
(今回は5日間の集中レッスンで35鞍騎乗された)
レッスンのパートナーを務めたのは、A氏の愛馬と、
普段は初心者や研修生の練習の相手をするレッスン馬2頭で合計3頭。
レッスン馬と言っても、ちゃんとトレーニングを受けたレイニングホースたちである。
季節がら暑い気温の中での乗馬レッスン。
短い日数で沢山の鞍数をこなさなくてはならない馬たちに向けて、
どのようにレッスンを進めたら良いか大雑把なプランをたてた。
馬にストレスを与えず、体力を維持させながら
フレッシュな状態で運動させなくてはならない5日間。
その他に大切な事として、乗り手が満足し良い時を過ごすのは絶対不可欠だ。
私は、A氏から渡米の予約を受けパートナーを務めるレッスン馬一頭に
スライディングストップの為のプレート
(馬がストップしながら後ろ足をロックして滑るための蹄鉄)
を二か月前に装着してストップすることを開始した。
ストップのやりすぎは後躯の関節を痛めやすく、
必要でない限り、馬のクオリティーを下げないように
普段はむやみにさせないでいたためだ。
もう一頭は小柄で、この馬には負担をかけないようストップのレッスンはしないと決めた。
その代わりに、駈歩でサークルを描きながら馬場での位置を確認する作業や、
馬の姿勢の取り方の説明と、スピンを取り入れることにする。
A氏の愛馬もレイニングの全ての動きを学んでおり、
この馬に関しては、競技会のために愛馬の感覚を養ってもらいたく、
自由に騎乗して少し遊んでいただこうと考えた。
馬は一頭一頭、乗り味も違えば性格も違う。
馬たちが同じような調教法を受けていても、乗り手が変われば馬の動きも変わる。
運動中に普段の騎乗者(トレーナー)の指示とは違うものを馬が感じた時、
素直に従う馬もいれば、逆に他の乗り手のいつもとは違うニュアンスに対して
馬自身が優位に立とうとする場合もある。
そのような馬は、扶助(合図)を受けても意思にそぐわない動きをして、
騎乗者の技量をはかりにかける賢さがあり、
それに対し的確な対応をしないと途端に悪さを始めたりする。
天気の変わり目や、餌を与える時間帯に運動するとき、
同じ運動の繰り返しで馬が飽きたり、疲労がたまった場合など
馬の集中力が散漫になって動きが悪くなる場合もある。
レッスン中に、人馬の一挙手一投足をつぶさに観察し、
意思の疎通がうまくいかない場合は、上記したような内容を加味しながら
原因を探して騎乗者に伝えるようにしている。
乗り手にその状況で、どう馬に対応すべきかいくつか引き出しから引っ張り出し、
乗り手のレベルで一番やりやすい方法を選び説明する。
それを馬の動きに表現されるまでがレッスンの一コマとなる。
一コマ、一コマを繋ぎ合わせることによって人馬が調和した運動の流れとなるため、
レッスンは正に一期一会なのだと感じることが多い。
ある意味では、指導という偉そうなものではなく、
馬と騎乗者の関係が常に良好であることを目指すコーディネーター的な存在が、
指導者なのかもしれない。
私は、自分自身が馬に乗る時も、その度に自分に言い聞かせることがある。
それは、この馬に乗って今行う運動は一期一会。
それ故にいかなる時も真摯に、心をオープンにして静かな気持ちで馬に接するべし。
まだまだ、この心境に達するには時間がかかりそうだけれど・・・。
英語で馬に行う調教や調教の種類を Discipline と表現するが、
ある意味で、騎乗者は一期一会の精神を持って、自分自身をも Discipline してこそ、
初めて馬と一緒に良い運動が出来るような気がする。
(あるレッスンシーンです。)
参照内容:
一期一会とは、茶道に由来する日本のことわざ。
茶会に臨む際には、その機会は二度と繰り返されることのない、
一生に一度の出会いであるということを心得て、
亭主・客ともに互いに誠意を尽くす心構えを意味する。
2017/07/06 2:41:40 | リンク用URL
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