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01
2015
この前久しぶりに獣医さんを呼んだ。
・・・と言っても、馬の具合が悪くなったわけではなく、
若馬の歯を抜いてもらうためだった。
馬の口の中には、ハミを入れても上手い具合に歯に当たらない隙間があるが、
ちょうど調教を始める頃、上の奥歯の手前に生えてくるウルフティース(wolf teeth)
という歯がある。
それは、他の歯と比べるととても小さなものなのに、
ハミ受けを作る時に馬によってはウルフティースにハミが当たり嫌がることがある。
馬にしてみれば、金属製のハミがカチカチと歯に触れるので気持ち良いはずはない。
そのため馬がいつまでもハミを受けることに抵抗することもあり、調教は先に進まなくなる。
可哀想だけどこのウルフティースを抜歯するのが人と馬にとって得策というわけだ。
この日は、4頭を抜歯してもらうことにした。
なにか緊急の事態が起こった時のために、3件ほど馴染みの獣医さんがいるが、
最近では同じ獣医さんばかり来てもらうことが多い。
この先生は、往診専門で主に大動物を相手にしている。
とても良識的で腕も良く、馬を熟知していて余分な薬は処方しないし、
必要ない処置もしないので、フィーリングがよく合う大好きな獣医さんだ。
何よりも助かるのは、助手にいつもレスラーのような大きな男性を連れてきてくれるので、
私が馬を抑える必要がないため安心して任せられる。
今回もその先生に会えると楽しみにしていたら、
車から降りてきたのは、初めて見る若くてスラリと背の高い女医さんだった。
体格の良い男性と、研修医のような女性を伴ってきた。
彼女と話をしているうちに、私の好きな大先生は
最近クリニックを立ち上げてすごく忙しいということが分かった。
難しい処置ではないので、新入りの女医さんをよこしたというわけだ。
私は、その女医さんの前にまず一頭目を連れてきた。
手慣れた様子で、鎮静剤を馬に打ったあと口の中を見て一言。
「超巨大だわ!!」
女医さんは、1頭目の馬のウルフティースを見るなりそう叫んだ。
助手を務める男性が馬の口を開けて女医さんのサポートをする中、
金属でできている管を馬の歯にあてがい何やら揺すぶったり、
グギグギと押している。
見ている私まで痛くなるような荒治療だ。
かなり手こずりながら、
「こんなに大きなウルフティースは見たことがないわ。」
と繰り返し、唸りながらやっと1本抜いた。
そしてもう片方の抜歯に取り掛かったが、
器具の管の直径が小さすぎて歯の根元まで届かない。
「これ以上大きな道具は持ってきてないので今日はこの馬は無理だし、器具が必要であればオーダーということになります。」
と言われてしまった。
そして次に連れてきた2頭目は、歯が1頭目と同じように大きいばかりでなく、
その隣の奥歯にピッタリくっついていて管の壁が入り込む隙間すらない。
イメージ通りの処置ができないため、
新米の女医さんの焦りが伝わってきて気の毒に思ってしまったが、
大先生だったら何とかしたのではないかと内心ガッカリ。
2頭目を諦めた女医さんは、次の3頭目を診て、
「そうそう、これが普通なのよ。でもこれでも大きい方よ。」
とつぶやきながら左右とも難なく抜歯することができた。
そして最後の4頭目はというと、
「ウゥ〜ン、この馬も歯が巨大過ぎる。2頭目と同じ状態で抜くとしたら寝かせなきゃならないし、器具もないので、今日は無理だわ。」
と残念そうに言った。
「もしかしてこの馬たち血筋が同じなんじゃない。」
と女医さんが言うので、
「確かに4頭の内3頭は、お母さんが母と娘という形でつながっているけど、
以前、大先生が抜歯してくれた兄弟はなにも問題はなかったんですけど・・・」
とちょっと不満気につぶやいてしまう。
いずれにしろ、この女医さんの判断に従い諦めるしかなかった。
そして、助手を務める男性と女医さんの、
「ウルフティースが奥歯に触るほど奥にあるのならたぶんハミの邪魔にはならないだろう。」
という意見に同意するに至った。
確かにこの馬たちは、ハミに不慣れな様子は見せたが、
強く抵抗することはなかったからである。
支払いを済ませて獣医さん一行が帰った後、
鎮静剤から覚めた馬を放牧しながらふと気が付いたことがあった。
(そういえば、巨大なウルフティースを持っている3頭は、同じ種オスの子供たちじゃない。)
母親サイドのことばかり考えていたので、女医さんに質問された私は、
父親が同じだとはその時は思いもつかなかった。
ちょっと辛口な言葉を女医さんに言ってしまったことを反省しながら、
遺伝とはまか不思議なものだと感心した出来事だった。
抜歯されたウルフティース。 左がスーパーサイズで右はアベレージサイズ(笑)
2015/09/01 10:45:50 | リンク用URL
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