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2014
アメリカ開拓時代の人と馬の関わりをたどると、
現在のメキシコやテキサス州、カリフォルニア州など北米南西部に移住してきたスペイン人は、
牛などの家畜を扱う作業を馬にまたがりながら行っていました。
牛の群れの移動や、特定の牛を群れから分けたり、
ある時は離れてしまった牛を群れに戻したりと、
ほとんどの作業は柵や囲いのないところでやることが多かったためです。
カウボーイは仕事を首尾よくこなすために、動きが機敏で小回りが利き、
逃げる牛の動きに合わせて急停止やダッシュができるような馬が必要でした。
作業に使う馬は、乗り手の体重移動や脚による合図、
そして軽い手綱のタッチで動ける敏感な感覚を持ち合わせていなければなりません。
カウボーイは多くの作業をするために、手綱は片手だけで操作しました。
もう片方の手は、ロープを扱ったり、ゲートの開閉、
ノロノロとしている牛を追うなどフリーにしておく必要があったからです。
そのような牧場の作業を馬の上で行っていたなごりを競技として確立したのが、
レイニングを含むウエスタン馬術です。
アメリカが発祥地のウエスタン馬術には様々な種類があります。
その中でも、レイニングやワーキングカウホース、カティングといった競技は、
馬の上から家畜を扱うカウボーイの日常作業をもとに、
乗り手の指示に従って動く馬の様子を審査するものです。
レイニングを初めとし上記した競技のルーツは、
ロデオの競技を観ると、よりリアルにイメージできます。
ロデオでは、いくつかある競技種目で選手が牛を相手に行うものがあり、
アリーナには選手の他に、選手をサポートし競技の進行をスムースに行うため
2-3組の人馬が待機します。
競技中は選手が注目の的となりますが、
サポート役の人馬がアリーナで動く様子も
とても興味深いものがあります。
彼らの主な役割の一つは、
競技が終わり解放された牛をアリーナから退場させることです。
サポートする数組の人馬は、絶妙なチームワークと素早い行動で、
逃げ回る牛を出口へと追いこみます。
牛の中でも特に動作がすばしっこい子牛は、
走っては止まり、逆を向いてフェンス伝いにまた走っては逃げるため、
その牛を追う馬のダイナミックでリズムの良い動きは迫力満点です。
このようなロデオからうかがえる、
カウボーイが馬にまたがって行う家畜相手の作業の動作を
競技化したものの一つがレイニングです。
レイニングは、競技中に牛を使うワーキングカウホースやカティングとは異なり、
馬が決められたパターン(経路)をいかに正確に洗練された動きで演じるかを審査します。
そして、経路を走行する馬の動きには、
まさしくロデオのアリーナで見る動作が基本にあるのが分かります。
レイニングは許可されたクラス以外、乗り手は片手で手綱操作を行いながら、
決められたパターンを馬とともに演じなければなりません。
パターンに指定されている動きには:
サークル(円を描きながら走る)、
スピン(後駆を軸にクルクル回る)、
スライディングストップ(後肢ですべりながら停止する)、
更に、パターンによってはフィギアエイト(8字乗り)が含まれています。
これらの動きをマニューバー(maneuver)と呼び、
それぞれのパターンは、各マニューバーの組み合わせによって構成されています。
その構成方法は、左右対称であることもあれば、
位置を変えながら数回繰り返されることもあります。
そして、その一つ一つのマニューバーの完成度が採点のポイントになります。
競技会では12〜13種類あるパターンから一つが選ばれ、
クラス分けされた人馬はそれに従い走行します。
このマニュ−バーの各動作を観察すると、
牛を扱うカウボーイが馬と共に作業をした時のなごりがうかがえます。
サークルは、牛を群れとしてまとめるときに牛を囲んで逃げないようにします。
スピンは、牛が左右に機敏に動いたとき、それを拒むための動作がもとになっています。
スライディングストップは、牛が走って逃げたときに並走(ランダウン)し、
牛が急停止したらそれに合わせてスライディングストップし、
そのあと牛が向きを変えれば、ロールバック(反転)して牛を逃がさないようにするのです。
家畜相手の作業は、たとえ牛が囲いの中に居たとしても、
とうてい人間が徒歩で行うのは無理な仕事です。
それを馬上でやることにより手際の良い作業ができるのです。
レイニングの世界大会で解説者が、一組の人馬の演技を見ながら
「馬が自分から好んでガイドされている様子そのものだ。」
(乗り手の指示に素直にしたがっている)」と言っていました。
確かにカウボーイの作業を助けるための馬が、
乗り手の指示に反抗的であっては仕事が進まず困ることになるわけです。
2014/10/17 0:34:55 | リンク用URL
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