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04
2016
前回と今回のブログは長い序文になりますが、
私がお伝えしたいのは、
「乗馬に関しては運動神経が良いだけでは成果はおさめにくい。」
ということなのです。
自分が馬と関わる時、どのようにしているのかを思い出しながら、
ひどく運動神経の鈍い私が、なぜ競技会で結果を出すことができたのか、
その理由を書いてみたいと思いました。
さて、何十年も前に飛び込みで乗馬の初体験をして、
翌週には会員になってしまった乗馬クラブですが、
なかなかすごいところでした。
「乗馬クラブ」というのは後から分かったことですが、ほとんど名ばかりで、
乗馬というよりそこは競走馬を手掛けている牧場でした。
繁殖牝馬の飼育もしていて、仔馬の生産と育成も行っていました。
入会する前に他のクラブも検討するという考えは私には浮かばず、
ほとんど発作的に入会しましたが、
幸運にもそこでしか経験できないような事を沢山させてもらいました。
馬と自由に関わることができ、乗るだけでなく、
馬に関して乗馬以外の多くの側面が見られるという、
初心者にはもったいないような環境がありました。
馬の飼育をさせてもらいながら、怪我や病気の治療を手伝い、
種付けと出産の現場、そして若馬の馴致が見られるという、
全てがオンパレードで体験できるところでした。
そんな環境が興味深く、また楽しくて会社が休みの度にクラブへ通い、
泊まりがけで馬の事を手伝うようになると、牧場のオーナーは、
そこに居る種馬(ヒリュウフドー)をいつも私に貸してくれるようになりました。
私はヒリュウに夢中になり、色々と工夫しながら意思疎通を試みました。
人が乗っている所を真似しながらヒリュウから乗る事を教わりました。
そして、いつもピッカピカに手入れをして首に抱き着くのが好きでした。
温かい馬体に寄りかかりながら顔を押し付けると、
太陽に干された乾草とヒリュウのなんとも言えない匂いがして
とても癒されたのを思い出します。
いつもウエストにポシェットを付けて中に人参を入れていました。
そして、ヒリュウと遊びながら何か教えては人参をあげていたので
馬はすっかり私になついてくれました。
(30年くらい前に撮ったヒリュウと一緒の写真です。)
種馬なのに大人しくて優しい性格で、
お互いに心が通じ合うようになると、左右の前足で「お手」をすることを教え、
またがるときは、私が洗い場の横木を踏み台にして乗るまで、
横木に体を寄せて待つことを覚えてくれました。
若馬の追い運動にもヒリュウと参加して、
群を誘導する役目をしたこともあります。
残念なことにその乗馬クラブはもう存在しませんが、
私がそこで馬を通して身に付けた感覚や気づきは、
どれだけ大事なことだったのか、今あらためて実感します。
アメリカに来てから、
そしてグリーンウェイランチを起ち上げてからはなおさら、
技術的なことや馬を御すことばかりに関心がいってましたが、
彼らと心で関わるということを忘れる寸前で、
自分が昔持っていた、馬に対しての感覚を思い出しました。
長い馬との生活のなかで、沢山の失敗と達成を経て気付いたことがあります。、
そして牧場をやっていく限り、今後も馬にまつわることをまだまだ
分かっていく必要があるのも痛感します。
以前に書いた「メンテナンス」シリーズや、
「フチュリティーの裏側」、そして他のブログでも、
機会があるごとに書いてきた 「馬」 という生き物との関わりは、
その馬を扱い、調教する人間がどれほど重要であるのか・・・。
そして、その関わりの過程で起こることは、
人が馬と共に作り上げるものに、どれだけ大きな影響を及ぼすのか、
そんな内容をまた原点に戻って書きたいという気持ちになりました。
乗馬はスポーツのジャンルに入りますが、
そこに含まれる運動は、全て人と馬のチームワークです。
道具を使うスポーツとは違い、
人間をサポートするのは血の通った感情のある生き物です。
ブログを書き始めた当初は、具体的な馬の乗り方や調教法など、
自分が知っている内容を、積極的に公開していこうと思っていました。
動画も使う予定だったので、いくつかアップしたものの、
なぜかそれより先に進みたいという気持ちになれませんでした。
乗り方うんぬんの前に絶対に無視できない大切なことがあり、
それを書くのが、今は大事なのではないかと感じたからです。
今まで私がブログで書いてきたことは、
人の受け売りでもなければ、教わってきた事でもありません。
自分自身の体験から学んだ、生きている内容です。
これからしばらく綴っていくブログは、
時に抽象的になると思います。
一般的な 「ハウツーもの」 を書く観点からみたら、
だいぶ的が外れている場合もあると思います。
分かりにくいものもあると思いますが、
書いてある内容を頭でなく肌で感じとってもらえれば、
そして馬との関わりの中で、何かのヒントになれば、
こんなに嬉しい事はありません。
2016/04/04 5:23:20 | リンク用URL
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