アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

2024.November

Sun

Mon

Tue

Wed

Thu

Fri

Sat

     

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

Backnumber

Image Index

みどりのThat’s録・(馬旅2020年 No. 05号) みどりのThat’s録・(馬旅2020年 No. 05号) みどりのThat’s録・(馬旅2020年 No. 05号)
みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号)
みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 04号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号)
みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 03号) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02)
みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02) みどりのThat’s録・(馬旅2019年 No. 02)
みどりのThat’s録・馬に魅せられて (馬旅2019年 創刊号01) みどりのThat’s録・馬に魅せられて (馬旅2019年 創刊号01) みどりのThat's 録 (ウィリー)
みどりのThat's 録 (ウィリー) みどりのThat's 録 (ウィリー) みどりのThat's 録 (ウィリー)
ジョイのつらつら日記(ビフォーアフターのアフター) ジョイのつらつら日記(ビフォーアフターのアフター) ジョイのつらつら日記(ビフォーアフターのアフター)

Nov

08

2015

メンテナンス 3 (伸び伸びと運動する)

今回は、前のブログに書いたリハビリの必要な馬に乗る場合、
私が何を工夫するかを書いてみたいと思います。

馬も人と同じように様々な性格を持ち合わせています。
中には競技馬として調教される段階で、強い刺激(調教)に上手く対応できず、
人が騎乗するとき神経をとがらせる馬がいます。
そのほとんどの原因は、人がすることへの恐怖心や不快感から生じていると私は思います。

運動中に前回のブログに書いた症状を見せるリハビリの必要な馬に対して、
私がまずするのは、馬を伸び伸びと運動させる事です。

どうしても調教中にしたくなるような、顎をたたむ作業や
サイドステップなどの横の運動も馬が神経を使うのでやりません。
レイニングのマニューバーも同様です。

やらなくてはならないと思ってしまう運動は全て忘れ、
ひたすらルースレーンで馬を伸び伸びと動かすことに集中します。

この時に注意したいのは、ダラダラとした動きをさせるという事ではありません。
忍耐強く、そうなってしまった馬に対しての理解と思いやりを心に持ちながら、
馬が首や背中、腰をリラックスさせてしっかりと前に進んでいることが大事です。

乗馬して最初はルースレーンのまましばらく歩かせ、
常歩で馬が同じリズムでリラックスして動いている様であれば、
ルースレーンのまま速歩にして馬の様子を見ます。

そして、速歩が常歩の時と同じようにリラックスしたリズムで継続できるようであれば、
ルースレーンで駈歩に移行します。

運動中に馬の動きが速すぎると感じた場合は、手綱を引いてスピードコントロールしないで、
小さなサークル(直径10メートル位)を何回もルースレーンで描き、
馬がリラックスするのを待ちます。
強い調教を受けた馬はある動作になると慌てて速度が速くなることがよくあります。

もし、移行の時に馬が頭を上げるなどして(駈歩に移行するときに起こりやすい)、
脚に抵抗する場合は、
拳を下げた状態で柔らかく手綱を持ってバランスさせて下さい。 
馬が移行したらルースレーンにすることがコツです。 

直ぐに移行が行われなくても蹴らないで、馬体から脚を離さず更に脚の圧迫と舌鼓を続けて、
移行の動作があるまで待ってみます。
移行が行われたら、全ての作用をやめて移行した運動を継続させます。

この作業で重要なポイントは、
馬が本来持っている独自のリズムを運動中に生かしてあげるのと、
その時乗り手は、穏やかな気持ちでそのリズムを感じる事です。
馬の状態によっては、その日は速歩で終わらせる位の気長な心持ちでやってみます。

乗り手は五感で、馬の一歩一歩に注意を払い、
心では馬の精神状態に耳を傾けてみます。

両肩と肘から力を抜き、柔らかい騎座でまたがり、
拳は必ずホーンより下げた位置を保ちます。
そして、馬が伸び伸びと全身を使って動くことに専念し、
もし馬が怠慢な場合は、脚で必要に応じて推進を促してあげます。


100_1356.jpg


両手を使う場合は、左右の拳が馬の背峰から等間隔になるようにしてください。
拳はいかなる時も背峰を越えないように注意します。そうすることによって方向を変えるとき(ガイドするとき)手綱で馬を振り回さすことなく乗り手には脚を使う練習にもなります。

IMG_0062.jpg


ワンハンドにすると、馬の状態がよく分かります。 できる限りワンハンドで乗るようにしてください。必要な時だけ両手を使い、馬が安定したらまたワンハンドに持ち換える、そのような動作を繰り返すことによって乗り手はレイニングの感覚を養っていけるようになります。 ワンハンド、ダブルハンドに関係なく、拳はホーンより低めに保ちます。


この運動は馬に良いばかりでなく、
乗り手が馬から伝わるリズム感を養うのにも効果的です。
乗り手にコントロールされてない、馬の自然なリズムに身を任せてみる練習です。

なぜ、このような運動方法をとるかというと、
私はレッスン中に大勢の乗り手が共通してやっているあることが、
馬との不協和音を作り出しているのに気がついたからです。

それは、乗り手が馬の操作に拳を使いすぎているために
馬は脚の作用より拳(ハミ)の作用を多く感じている状態で運動しています。

人は日常、手を使う事が多いため仕方のないことですが、
乗馬をする時は手より足を使う事に意識を向けると、拳と脚のバランスが取れてくると思います。

レッスンで私がよく使う表現で、
「押しと引きのバランス」というのがあります。

その押しと引きのバランス感覚が乗り手にないと、
手綱を引く(手綱を持つ)力に対して、
脚で押す力(馬を前に出す、推進を促す働きかけ)が不足する乗り方になり、
馬の動きと調和するのが難しくなります。

別の角度から考えた場合、まだ脚を充分に使えない乗り手は、
なるべく手綱を引っ張らないように心がけて乗ると、
そのレベルにあった馬との調和ができてきます。

調教の概念から考えた場合、
馬をまとめる前に(ハミ受けを作る前に)体を大きくしっかり伸ばした運動を怠ると、
馬の動きは窮屈になり、マニューバーなど様々な動きをする上で
妨げになると感じています。

また、ハミ受けにこだわる馬の口のいじりすぎは、
馬をイライラと神経質にさせるので注意が必要だとも言えます。

馬と乗り手が互いを信頼して連帯感を持つには、
その馬が以前人から受けてきた影響の度合いに関係するので、
時間差はありますが、前回のブログで書いた
「好ましくない反応をする馬」を伸び伸びと動かす運動は、リハビリにとても有効的です。

乗り手は気長に辛抱強くこの運動を続けることによって、
馬が乗り手に安心感を抱き、自信を取り戻してくるのを感じることができます。
その段階に来たとき、初めて次のステップに進めると感じられるはずです。





2015/11/08 22:50:17 | リンク用URL

Page Top