アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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Nov

01

2015

メンテナンス 2 (馬の気を感じる)

前回のブログで、
乗り手と馬の間に生じる連帯感の大切さと、
連帯感を持つための馬との気のやりとりの重要さを書きました。

ただ、「気のやりとり」といっても、
何をもって気のやりとりなのか、
どうすれば馬の気を感じる事ができるのか、
今回はそれについて、私が普段注意していることを書いてみたいと思います。


馬の気を感じる。

馬と気のやりとりする時、大切なことは乗り手が馬の気(その時の気持ち)を分かる、
あるいは分かろうとする心がけだと思います。
簡単に言えば、自分のやり方や考えばかりを押しつけないで、
馬の言い分にも耳を傾ける姿勢だと思います。

馬にも個体差があり、ストレートに自分を表現するものもいれば、
たまに何を感じているのか分かりにくい馬もいるので、
乗り手はその様な違いもあるということを踏まえて、
馬に接する必要があると思います。

馬と気のやりとりをしながら、連帯感を築いていく過程で、
私が目安にする馬の反応があります。

これらは、馬を試乗するときや人をレッスンするときに
馬の心理状態を判断するポイントになります。
また、調教を手がけている馬からは自分の乗り方を改める機会をもらえます。


まずは、私が思う運動中の馬の好ましくない反応として:

◎神経質に口を開け閉めする、極端な場合はハミを受けずに頭を上げる
(まだハミになれない若馬はよくこのような動作をします。
ずっと続く様であれば原因を考えた方が良いと思いますが、
鞍数とともに少なくなれば心配はいりません。)
◎耳を背負う
◎尻尾をパサパサとふる
(アブやハエなど刺す虫が出てくる季節もよくこの動作をするので、
虫が原因の場合はフライスプレーなどを使用すると良いでしょう。)
◎首や背を緊張させている。 馬の頭の位置が高く、乗り味が固いのが判断基準です。
(ブリティッシュスタイルで馬が収縮して頭の位置が高くなっているのとは違います。)
◎歩様のリズムにムラがあり、スムースな流れがない

これらは乗り手の五感で確認できる馬の様子です。
馬がこのような動作をするときは、乗り手を信用していない、
あるいは乗り手の作用(扶助)を不快に感じているときです。

その反対に馬の好ましい状態とは:

◎リラックスして口を閉じている(唇をぎゅっと結んだ状態とは異なります。)
◎両耳が柔らかく乗り手に傾いている
◎尻尾は静かに下げた状態
◎頭と首が自然に降ろした位置でハミを受けている
◎馬体がリラックスしているので、乗り心地が柔らかく感じる
◎動作のリズムが安定していて、流れるような動きがある

この様な状態の馬に騎乗すると、乗り手は安心して馬の動きに身を任せることができ、
操作も楽に感じます。

後者の場合は次のステップに進めますが、
もし前者のような状態の馬に乗ったときは、調教途中の馬の場合はバックオフした方が良く、
また完成された馬にはリハビリが必要になります。
(バックオフとは調教を先に進めず前の簡単な段階まで戻すことです。)

少し時間のかかる作業ですが、馬との連帯感を持つのにとても重要なことなので、
ぜひこのリハビリやバックオフという段階を踏んでから、次のステップに進むと良いでしょう。

馬が乗り手の扶助を不快に感じている、あるいは乗り手を信用していない状態の時、
当然のことながら相互の意志の疎通は難しくなるからです。

また、前者のような馬は、乗り手の指示に協力して動いているのではなく、
強制的にその動作をやらされているため、人が油断すると意に反した動きをする可能性があります。


少し脱線しますが、今回のブログを書くきっかけになった経験を書かせて下さい。

私は、渡米して1年後の2000年に、
レイニングの競技会にデビューする機会を持つことができました。

競技会初挑戦のパートナーは、Bobby Dough Badgerという、
カッティングのトレーナーに調教された4歳の馬でした。
栗毛の美しいゲルディングでしたが、反応が軽くて落ち着きのない馬でした。

DSC01336.jpg


(Bobby Dough Badgerを絵にしました。)

Bobby が手元に来て、競技会までは2ヶ月もなかったと記憶しています。
その頃は、競技会に向けて馬をどう調整していってよいのかまったく分からず
雲をつかむような思いで乗っていました。

アメリカでも、技術は見て覚えろ、みたいな感じがありますから、
馬の操作が悪いと怒られることはあっても、教えてはもらえません。
そもそも、みんな忙しくてそれどころではないというのが現状です。

ただ、1つ分かっていたことは、
Bobby が運動中にリラックスしないということでした。
またがればすぐに速歩になってしまい、
ロープオフ(駈歩発進)1つにしても体を固くして唐突に動きました。

馬がこの状態でパターンを廻れば、
なにか起こりそうな気がしてそれが一番の心配でした。
 
Bobbyはたえず緊張していて乗り手を怖がっているのが伝わってきたので、
私がやったことは、競技会までただひたすら運動中に馬がリラックスできるよう専念しました。
腫物に触るような乗り方とは違いますが、私はあなたを傷つけないからね、
と馬に理解させ安心して運動できるように心がけました。

競技会までマニューバーはほとんどしませんでした。
馬を確認するためにしたスピンやサークル、ストップなどは、
スピードは求めず、正確にすることだけ注意しました。

そして、結果は・・・、というとリミテッドオープンに優勝してしまったのです。
ペナルティーはありませんでした。

その頃のリミテッドオープンのクラスは、男性ばかりでそれもトレーナーの卵たちです。
彼らは私よりもずっと経験が豊富で、運動神経もバツグンな乗り手たちです。
そのクラスで優勝できたことは夢のようでした。

DSC01332.jpg


(初のウイニングピクチャー)

1回目の走行では、結構Bobbyを走らせましたが、
翌日のリミテッドオープンでショーイングした時も
馬は安定していて2位につくことができました。

好成績の理由はなにかというと自分でもハッキリ分かりませんが、
今回テーマにしている、馬との連帯感が関係していると思います。
馬が私を怖がらずにやるべきことに集中してくれたわけです。

もちろんBobby にそれだけのスコアを出せる能力があってのことですが、
それを人馬互いに心を通わせることで、馬が結果を出してくれたのだと思いました。

この状態を作るのに実際になにをするか、私流を次回のブログで綴ってみたいと思います。






2015/11/01 23:18:03 | リンク用URL

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