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2013
5月12日に今シーズン最後の繁殖牝馬の出産がありやっと一息つける時間を持てた。
なんという安堵感。
まだしばらくは仔馬や母馬の健康状態に気を配らなくてはならないが、
大きな山場を越え、久しぶりの解放感でほっと肩が軽くなった。
(2013年母の日、やっとこの日を迎えました。)
母の日に文字通り母になった、この牝馬デューリーにとっては初産だった。
去年、初産の馬を相手に大変な経験をしたため、
その時生じたトラウマのせいでデューリーの出産に関しても予定日1ヶ月前からじわじわとせまってくる緊張感があった。
(去年の出産にまつわる大騒動をブログにしてあります。まだご覧になってない方はこちらへどうぞ!
ブログのページからBacknumberをクリックしてください。
2012年4月3日(春の大奮闘、おっぱい騒動)から8月22日(春の大奮闘、バトルのエピローグ)の10回にわたって公開されています。)
去年の体験は、馬の出産に関わるとき不安感をもたらすこととなるが、
それとは違うケースで、デューリーは種付けの段階ですでに大変な思いをさせてくれた。
この馬に関しては種付けの作業から妊娠の継続、
そして出産まで心から安心することができない長い道のりとなり、
無事に出産してくれたときの喜びはひとしおだった。
(2013年4月下旬、いよいよ臨月に入ったデューリー。)
春本番となってきた去年3月23日、
そろそろ繁殖牝馬に種付けをしようとブリーディングファーム(種付け作業をしてくれる牧場)へ2頭馬を運んだ。
1頭はガナーズモールで、順調に発情が来ていた。
ところがデューリーは日を空けて3回馬運しエコーでの検診を受けても、
発情の兆しがまったく見られないとの獣医さんの診断。
自分の牧場で発情を促す薬を7日間打つように指示され、7本の薬が入った注射器を渡された。
最後の注射を打って1週間のち、再び馬運をして検診を受けると、やっと発情の兆しがあるとのこと。
帰宅した後に注射するようにと、今度は排卵を促すための薬を渡される。
そして4月中旬過ぎに馬運をした時は、排卵がもうすぐという段階までこぎつける事ができ、
デューリーを種付けのためにブリーディングファームに5日間預けた。
その間に順調に排卵が確認され、ようやく人工授精によって種付け作業は完了。
種付けが終わった知らせを受け馬を連れて帰り、
更に3週間経過したあと再びブリーディングファームへ馬運をする。
そして晴れて妊娠の確認ができた時は本当に嬉しかったものだ。
ここまで来るのに2ヶ月以上が経過した。
ところが、それからまた3週間後の6月4日のエコー検診で、
なんと胎児の心拍が認められないと獣医さんは言うのだ。
私は心の中で、誤診でありますように、と祈ったが獣医さんは駄目押しをするかのように
「子宮も胎児の成長を示す大きさになってない。」と言った。
彼女はブリーディングマネージャーとも相談をして胎児は生きていないとの判断を下し、
流産の処置をすることになった。
(左手の平にすっぽり収まるサイズのカメラを持ち、腕を馬の肛門に入れてモニターに映し出された映像を読んでいる所です。)
(映像が映し出されるモニター。)
胎児の心拍が確認できないと聞かされただけで私は充分なパニックにおちいったのに、
流産処置が必要だと聞いて、頭の中は真っ白になってしまった。
その処置のプロセスを他で聞いたことも見たこともないし、
馬を預けている間に行われるのかと思ったら、今この場でやるというのだ。
獣医さんとブリーディングマネージャーがバタバタと準備をしている間、
私の心の中は憔悴感とも絶望感ともつかぬ沈んだ気持ちでいっぱいになった。
この時期、別の繁殖牝馬3頭の出産が相次いであり、
昼夜不規則な生活の上に、初産で出産した1頭が育児拒否をして大変な目にあった。
そして、それに加えちょうど日本へ送る馬2頭がいくつもの検疫検査を受けなくてはならず、
その手配と馬輸送に関する事務作業で猫の手も借りたいほどに追われていた。
日常作業の他に、普段やり慣れない仕事がいくつも重なったのと睡眠不足で、
この時の私は心身共に疲労困憊の状態だった。
持ち前の気の強さはどこかフワフワと飛んでいき、
馬の側でしゃがんでしまいたいくらい脱力してしまった。
2013/05/19 2:42:07 | リンク用URL
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