アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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Jun

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2012

レイン♪レイン♪レイニング〜(15)レイニング大作戦V

お客様が見えて、レイニングホースでレッスンをするとき
気がつくことがあるので、少し綴ってみたいと思います。
これはどちらかというと初心者より、
馬の操作ができる経験が豊富な方のほうから多く見かけられる点です。

馬の調教の仕方、乗り方はその馬に合ったもっとも適切な方法で行うべきだと思います。
私がいくつか述べる点は、
グリーンウエイランチにいるレイニングホースでのレッスン方法だと思って下さい。
その場所(乗馬クラブ)にはそこのやり方があるので、
あくまでも参考にして頂ければと思います。


レイニングホースは先に書いたように、飴と鞭を使いながら乗り手が馬に
「やって欲しいこと」 を理解してもらう様に調教していきます。

レイニングホースを使いながらのレッスンは、
馬の覚えた事を混乱させないように、また崩さないように気を付けながら行います。

馬が崩れていく1つの簡単な例としてよくあるのは、
レッスン中に騎乗者に声を掛けたとき、乗り手は今馬がやっている動作を、
なにげなく終わらせて指導者の言葉を聞こうとします。

これは、レッスンに熱心な様子が伺えて嬉しく思いますが、
馬に対しては必ずしも良い事ではありません。

例えば、駈歩でサークルをしているときに、
私が、 「はい、もう少し手を下げて〜、馬が苦しがってますよ〜。
馬の頭が下がるようにもっと柔らかく手を使って、脚で押して〜・・・」
と少し長めの説明をしたとします。

そうすると乗り手は、ほとんど無意識に馬を速歩に落として、
あるいは常歩にして私の所へ来ます。
これを数回繰り返すことにより、
私の声がするとここの馬達は
駈歩を止めて速歩に落ちたり、止まることを覚えてしまいます。

このような状態に馬がなってしまうのは、私の責任なので乗り手に何か伝えるときは、
「はい、そのまま馬を動かしながら聞いて下さい。」
または、
「それではウォーと言って馬をストップさせてちょっと休めましょう。」
と指示を出してからレッスンの内容を説明するように工夫しています。

その時にもし馬のストップが(馬の能力より)いい加減だった場合は、
もう一度やり直しをしてもらい良い状態でストップしたときに
レーンを完全にルースにして乗り手と話をします。

馬には乗り手の指示を待つという姿勢が大切で、
今は運動を継続するとき、あるいは休んで良いのだという違いを
ハッキリと馬が分かるように対応していく必要があります。

この感覚を騎乗者が馬に上手に伝えていけるようになると、
レイニングの激しい動きをしても、
馬がピリピリと神経質になるのを避けることができます。

100_3904.jpg


(馬上で休憩しているようす。 レイニングホースにとってこのような時間はとても大事です。)


「終わりよければすべてよし」、
馬になにか教えていくときはこの諺は上手い表現だと思います。
この言葉を乗馬に当てはめるのであれば、私はこう理解します。

終わりが良ければ、そこに行き着く過程(自分の馬の操作)は正しく、
終わりが良ければ、そのあとに続くこと(次回騎乗の時の馬の動き)も良い状態で始まる。
だから 「すべてよし」 ということです。

レイニングホースは調教を重ねていく内に、
「飴」をもらうタイミングを待ちながら運動する習慣がつきます。
それ故に、飴をもらった時の動きを正確に(ほとんど反応として)覚えていくのです。

そこで、どのようにこの馬の習性を美紀ちゃんのスピンのレッスンに応用したかです。

まず、スピンを始める前に必ずスピンのための前運動(準備運動)をします。
競技会本番のように、止めた状態からいきなりはスピンをしません。
前運動は幾通りかあり、その馬に合ったものを行います。

そしてその前運動の流れでスピンに入ります。
スピンに入るときは、
最初の1/8はゆっくりと正確にスタートし、
そのあとは良いリズムに乗せて回り、
4周以上回ってから、最後の1〜2周を早めにして終わらせます。
この方法はフリーズやアンダースピンを防ぐ効果があります。

スピンをしている時の大事なポイントは、
馬がバランスを保ちながら
外方手綱に対して快く(軽く)反応して動いているということです。

馬がちゃんとバランスを取っているか否か分からない人は、
座り心地が良いかどうかで判断できます。
スピンの最中に自分の体が揺さぶられるようであれば、
馬の状態もフラフラしていると思って良いでしょう。

美紀ちゃんとカサノバがスピンをしている時、
馬がスルスルとバランス良く回るのを確認しながら、
もう少し早く回るように乗り手に伝えます。

スピードアップの指示にも馬がスムースに反応したのを見届け、
「みき!」
と前置きなしに声をかけます。
(なぜ 「みき!」 なのかは、 「レイン♪レイン♪レイニング〜11 を参考になさって下さい。)

一番最初にスピンの練習をしたとき、
不意打ちを受けた美紀ちゃんは声がかかって1周で馬を止めることができませんでした。
スピンに一生懸命で、声の意味を忘れていたからです。

少し意地悪だと思いましたが、本番で舞い上がるタイプの人には
1つの事をしながら他にも注意を向けられる様にする練習方法も大切です。
(あとで分かりましたが冷静沈着な彼女にはその必要はありませんでした。(笑))

このようなファイブスピン防止作戦のレッスンで大事なことは、
あと1周回ってスピンをストップさせる、という合図の声がかかった所の位置を
乗り手が正確に記憶して次の1周できちっとそのポイントで馬を止める、ということです。

もし、1人でスピンの練習をしているときは
自分で停止位置を決めてそこでスピンを終わらせる方法も良いと思います。
その時にちゃんと馬の状態も確認して、
調整が必要な場合はそれも行いながらスピンをします。

くり返しになりますが、
大事なポイントは4周以上スピンをする、
そして馬がスルスルと外方手綱に抵抗なく反応して回っている時に
そのワンセットのスピンのなかで一番スピードに乗った時停止をさせることです。

大会に向けてのスピンの練習ならなおさらで、
4回スピンして停止する、といった本番のようなやり方は
馬のパフォーマンスを視点に考えると、行わない方が無難だと思います。




2012/06/12 23:17:28 | リンク用URL

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