アメリカ・ノースカロライナ州にある日本人向けの牧場「グリーンウェイランチ[GREENWAY RANCH]」ブログ

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Jul

10

2011

ゴン太のはなし @

動物と関わる事が仕事なのに、猫にはまったく興味がなかった。

犬や馬に比べると、何を考えているかさっぱり分からない。
人の顔をじっと凝視する、無表情な目を気味悪いと思ったこともある。

そんな猫への気持ちを180度変えてくれたのが、
馬小屋に勝手に居座ってしまったゴン太だった。

どこから来たのか、どうやって来たのか・・・。
研修生で滞在していたココちゃんが、
「猫がいるようなんですが、・・・乾草を積んである奥の方から、ニャァという声が聞こえました。」

「ふぅ〜ん・・・、見つけたら敷地内から外へ出してくれる。 ハナが襲うといけないから・・・。」
と無関心で素っ気ない返事をした覚えがある。
去年(2010年)、3月中旬ころの話だ。

次なる命の責任を負うのは心配事が増えるわけで、
なるべく他の生き物には関わりたくなかった。

数日たって、またココちゃんが、
「猫、戻って来ちゃったみたいです。 また声が聞こえました。」

「そう・・・、捜してみてくれる・・・。」
(困ったな) と思ったが、
さすがにちょっと可哀想になり、また心配そうにしているココちゃんも気になった。

そして、少しして発見されたのは、まだあどけなさの残る子猫だった。
乾草を積んであるスノコの下に隠れていた。

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牧場には、やはり勝手に居座ってしまった犬、ハナがいる。
ハナは、馬と犬意外の動物は、自分のテリトリーに入るとみんな殺してしまう。
ポッサムという、イタチの仲間みたいな動物の死骸を、何匹も埋める羽目になったこともある。

ある日、親とはぐれてしまったのか、放牧地の隣の畑で子鹿を見かけたときのことだった。
まだ産まれてさほど日数がたっていない、背中に斑点のあるバンビだ。
林をバックにたたずんでいる姿が美しく、ずっと見ていたかった。

だが次に起こりえる事態を防がなければならない。

「ハナぁ−!」 
名前を呼んで、少し先にいたハナの注意をそらそうとする。
しかし、研ぎ澄まされた犬の感覚は、50メートルほど離れた気配にすぐ気がついた。

ダッシュしてくる犬を見て、子鹿は少しひるんだあと林に向かって逃げたが、
ハナの俊足に勝てるはずはない。

あっという間に捕らえられてしまった。
子鹿は、首根っこをくわえられ、引きずられながら前足を前後させていた。
まだ生きていて、「ビェ〜」と鳴きながら歩くような仕草をしている。

追っかけて助けようとしたが、放牧地の柵がじゃまで
もたもたしている内に2匹は草むらへ消えてしまった。
子鹿と子馬のイメージが頭の中で重なった。

目の前で起こった出来事は生々しく、
正直恐ろしさと、無力な子鹿を殺したハナへの猛烈な怒りを感じた。

以前、迷い猫が敷地に入ったときも、ハナに襲われたことがある。
ワンワンと吠えながら追い詰め、
逃げようと動いた瞬間に、首根っこにかみつき激しく左右に振り回す。
まるで野生のスイッチが入ったようになり、大声を出して怒ってもまるで聞こえなくなる。

ハナは野性の本能が強い犬である。
この子猫もきっと同じ目にあうだろう。

もうそんな殺しの場面はこりごりだ。
なにか起こる前にあちこちの人に、猫はいらないか聞いて回った。
飼い猫ではないかと思い、近所の家へ連れて行ったりもしたが、答はノーだった。

どうしよう、やっかいなことになったな・・・、
これが迷い込んできた子猫に対しての、正直な気持ちだった。









2011/07/10 3:23:07 | リンク用URL

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