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2010
以前 「レイン♪レイン♪レイニング〜(3)」 でクロップアウトの話を書かせて頂きました。
両親がクォーターホースなのに馬体の白い部分が多すぎて、当時はクォーターホースとして登録できなかった1993年産まれの牡馬の話です。
後にこの馬の競技成績が高く評価され、AQHAの登録ルールは変更されるに至りました。
その馬の名前をガナ−(Gunner)と言い、今は種馬として優秀な産駒をたくさん出しています。
ブログで取り上げた2010年WEGレイニングの個人戦で優勝した馬、Gunners Special Nite(父親はガナ−)を始め、今年のオープンクラスフチュリティーで優勝した Spooks Gotta Whiz のお父さん(Spooks Gotta Gun)のお母さん(Katie Gun)はガナ−のお母さんでもあります。
ガナ−がレイニング界で幅広く活躍するまでには様々ないきさつがありました。
この馬は1996年のオープンフチュリティーに クリント ハーベティーが騎乗してリザーブチャンピオンになり1998年までクリントと大活躍しました。
その後はオーナーが自分の牧場に引き取りノンプロクラスでしばらく競技に出たあと、オープンクラス選手ブライアント ペースによって2001年のUSET(United States Equestrian Team)ワールドチャンピオンシップの予選と本戦でスコア
229,233,226.5を記録して優勝しました。
そしてUSETの大会を最後にティム マックウェイが破格の条件でガナ−を購入し、今はテキサスのマックウェイステーブルで種馬として繋養されています。
ガナ−は競技成績が素晴らしいだけでなく、色々な意味で個性的なため大勢のファンを引き寄せています。
彼の姿はひと目見ると忘れられないような特徴をもっているのも理由の一つです。
まず毛色が他のクォーターホースとはかなり違います。
額と頬を結んだ線から鼻先にかけて真っ白で、四肢はかなり上の方まで四白、シッポも付け根の少し下から真っ白という姿です。
栗毛の馬体に広範囲の白色があり、おかぐら耳(普通の馬の耳はピンと立っているが、おかぐらは耳の力が抜けているような感じでプラプラとしている)の顔は愛嬌たっぷりで、目は薄いブルーがかかっています。
それとこれは暗黙の内にたくさんのレイナーが知っていることですが、ガナ−は生まれつき耳が聞こえないのです。
レイニングは競技中に音声の扶助を使うことができますが、一番の見せ所のスライディングストップをするときや、スピンを停止させるときに使う「ウォー」というライダーのかけ声はガナ−に通用しません。
またスピードアップを促すときや、駈歩発信の合図としての舌鼓も聞こえないわけです。
これはレイニング競技という瞬時に激しい動きを次々と演じなければならない舞台で、ライダーや馬にとってその遂行は更に難しくなります。
その様な性質の競技にガナ−は耳が聞こえないというハンデを越え、ライダーの扶助を敏感に感じ取って演技し、たえず高得点を出しました。
それを考えると、この馬の感覚や運動能力は計り知れないものがあると思います。
通常であれば耳が聞こえない馬を種馬に選ぶのは敬遠されやすいのを、今でも多くのガナ−の子供が活躍している事実を見るとこの馬の非凡さが分かるというものです。
馬に携わるようになってから沢山の馬を見てきましたが、この馬を身近に接する機会があったときは一種の神がかったものさえ感じました。
忘れることのできない一頭です。
2010/12/20 5:37:03 | リンク用URL
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